個体発生は進化をくりかえすのか (新装版 岩波科学ライブラリー)
- 作者: 倉谷滋
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/07/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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倉谷先生の「動物進化形態学」を読むべきかどうか迷っているのだが(仙台の進化学会で講演をお聞きしてから気になる学者のお一人なのだが,何しろ即死者続出との噂),その前にこれに手を出してみました.
ヘッケルの反復説の今日的な意味を解説した明快な一冊.カメとニワトリの胚を間違えそうになった逸話から読者を引きつけて反復説ワールドに引き入れる.要するに進化的に考えれば「発生的な拘束」あるいは「その部分は残しておいた方が進化した体制を作りやすい部分」は発生過程で保存されやすい.ためにあたかも個体発生が系統を反復するように観察されることがあるというもの.
ある意味では常識的な説明だが,このような一般論にとどまらずに個別具体的な例を挙げて説明しているので読んでいて楽しい.