読書中 「Genes in Conflict」 第9章 その4

Genes in Conflict: The Biology of Selfish Genetic Elements

Genes in Conflict: The Biology of Selfish Genetic Elements



B染色体が進化に与える影響について.Bが有益ならすぐに広まって固定してしまうはずだから,ドライブしていて,かつ固定していないBは有害なのだろう.すると逆に有益で固定していないBはドラッグしているはずということになる.いわれてみると自明のような気もするが,何となく奥の深さも感じてしまう.


第9章 B染色体  その4


1. ドライブ


(4) ドライブのない場合


70種の植物のデータによると,B染色体でドライブが観測できるのは約60%程度である.このうち半分はイネ科の植物であり,典型的には花粉管の有糸分裂の第二分裂でnondisjunctionによりドライブを起こす.
残りの40%ではドライブがみられないか,あるいはドラッグを見せる.
ドラッグを見せるBが保持されているということはそれはホストにとって有益であるに違いない.すべてのB染色体が利己的だと考えてはいけない.


(5) アウトクロスとドライブ


Bはアウトクロスする種によく見られる.植物のリサーチによるとインブリード種や無性生殖種にはみられない.これは理論的にも予測される.インブリード種や無性生殖種ではBのある系統とBの無い系統とが競争することになり,Bにコストがあると淘汰されてしまうだろう.アウトブリード種ではBが無い個体の子孫にもすぐにBが侵入し,ドライブ効果によってBは存続しやすい.
著者はこれをモデル化したところ,実際の植物データによく当てはまった.
またBがドラッグする場合にはこの効果は逆になる.インブリード種では有益なドラッグBは広がりやすい.