Bad Acts and Guilty Minds 第3章 罪深き心 その4-2(8/1追記)

日本刑法でも過失の本質には様々な議論があるようだ.
注意義務の観点からの議論としての結果予見義務と結果回避義務,認識なき過失と認識ある過失,許された危険の理論,予見可能性における具体的予見可能性説と不安感説,結果の予見可能性と因果関係の予見可能性,結果発生の蓋然性と認識の容易性など様々に議論されている.これを概説することは私の能力を超えているが,結局リスクは確率の問題であるという点から真正面に議論しているようには見えない.義務があったか予見可能であったかなどについて1か0かの判断を何らかの基準で行おうとし,無理があるときには「許された危険」などの法理を編み出して何とかしようとしているように見受けられる.このあたりは日本の法律学,あるいは法律実務の文化ということだろうか.