「Risk Intelligence」 第2章 あなたのRQを測る その1 

Risk Intelligence: How to Live with Uncertainty (English Edition)

Risk Intelligence: How to Live with Uncertainty (English Edition)


エヴァンズによるリスク知性の本.導入の後の第2章はRQテストだ.


第2章 あなたのRQを測る


まず本書におけるリスク知性の定義「確率を正確に見積もる能力」をもう一度復習している.ここでは追加コメントしてここにおけるリスクは「危険」という意味ではなく,アップサイドも含む不確実性を指すこと,リスク知性の高い人は自信過剰と自身不足の間にいるといってもいいことなどを指摘している.
なおこのエヴァンズの定義するリスク知性は,リスク選好とは別の話だ.よく誤解されるらしく,エヴァンズは少し後で両者の違いを丁寧に解説している.


<RQへの別のアプローチ>


リスク知性のリサーチは始まったばかりのエリアなのでリサーチャーの間でも定義や方向性は様々だ.エヴァンズはいくつか紹介している.

  • アプガー:リスクの種類ごとに別のRQがあると考える.共通点をみると,RQが優れていると学習経験を整然と生かし,多くの手がかりを使うという点で私たちのアプローチの知見と重なる.
  • ファンストン:とるリスクと避けるリスクを区別する能力ととらえ,個人というより企業の能力を念頭においている.これによると企業のRMのポリシーやプロシージャーも重要になるが,同時にリーダー個人のRQも重要になるのだ.


<リスク知性の測り方>


リスク知性をどう測るのか.ここではエヴァンズとジャコバスにより開発された手法が紹介されている.具体的にはRQテストページhttp://www.projectionpoint.comにおいて無料で測定することができる.


実際には「ワインは7000年前より以前に発明された」とか「2008年の北京の人口は20百万人より多い」などの50の命題に対してそれが正しいとされる確率を見積もって,0から100%(10%刻み)の11選択肢から1つを選ぶという形になる.そして例えば20%と答えた命題を集め,それが真であった割合を計算し,それを20%と比較する.この乖離が小さいほどRQが高くなる.
私も早速やってみたところ平均64のところ73点という結果だった.なかなか確信度を数字で表すのは難しい.


エヴァンズはこれを行う上でのメンタルステップを次のように解説している.

  • その事例についての自分の知識を掘り出す
  • その知識1つずつをそれが命題の正しい確率を上げるものか下げるものか,それぞれどのぐらいかを考える
  • これを自分の信念の度合いとしてのフィーリングに変換する
  • このフィーリングを数字に直す

キャリブレーションカーブ>


この答えた確率の数字を横軸に,それぞれの命題が真であった割合を縦軸にプロットして結ぶと,その被験者のリスク知性の詳細がわかる.対角線より緩やかなカーブは自信過剰を表し(こちらが多数派らしい),きついカーブは自信不足を示す.

ちなみに私のカーブは以下のようになる.多くの人はかなり寝たカーブになるらしい.