　「カッコウの托卵」 - shorebird　進化心理学中心の書評など

作者: ニック・デイヴィス,中村浩志,永山淳子
出版社/メーカー: 地人書館
発売日: 2016/04/15
メディア: 単行本
この商品を含むブログ (6件) を見る

以前私が書評した「Cuckoo: Cheating by Nature」が邦訳された．本書は行動生態学者ニック・デイビスの手になるもので，その20年以上にわたるカッコウのリサーチから得られた知見を一般向けに解説しているものだ．
本書ではまずどこまでも興味深い托卵という習性をめぐる托卵鳥とホストの進化的なアームレースが詳しく描写されている．そしてリサーチを通してカッコウに取り憑かれたデイビスの人生が重ね合わされていて，ところどころの「ホストの人生は厳しい」とか「托卵鳥の人生もつらいよ」などのコメントにも味がある．かなり焦点の絞り込まれた本だが，邦訳されて真に喜ばしいと思う．訳者にはカッコウのリサーチャーである中村浩志も名を連ねていて信頼できる．行動生態学に興味のある人にとってはまたとない贈り物だろう．

私の原書の書評はhttp://d.hatena.ne.jp/shorebird/20150405

関連書籍

原書