第1章 歴史的起源 その15
オーグレンの遺伝子視点の起源の解説.その3つの基礎のうち自然神学,集団遺伝学と並ぶ最後のものは「淘汰のレベル論争」とされている.
1-4 淘汰のレベル その1
- 遺伝子視点がもたらした進化的思考の第3の要素には,1960~70年代の淘汰のレベル論争がある.それはばかげた論争だと評されたこともあったが(ワディントン1975),生物界階層のどのレベル(遺伝子,個体,グループ,種)において自然淘汰が働くかをめぐる意見の不一致は,進化生物学における最も活発な議論を巻き起こし,科学哲学の最も輝かしい分野の1つになった.
ここ参照されているワディントン1975とはニューヨークレビューに書かれた「社会生物学」の書評になる.このレビューはドーキンスの「利己的な遺伝子」出版前のもので,ここで言う「ばかげた論争」は「社会生物学」でウィルソンが,社会生物学の中心課題の1つが利他性の進化の問題であると据えたこと,そしてグループ淘汰に否定的に扱っている部分を評する中で表現されている.
www.nybooks.com
- 「グループ淘汰」は,グループレベルの適応は(個体ではなく)グループに自然淘汰が働いた結果だというアイデアだ.グループレベルの淘汰は個体レベルと逆方向に働きうるので,それにより個体にとってはコストでもグループにメリットのある利他的行動や社会行動を説明できると考えるのだ.
- 今日の理論家は,グループ淘汰の正式で適切な数理モデルを組み立てることができるという点で意見が一致しているが,20世紀においては意見の一致がなく,どのように個体が「グループのために」あるいは「種の保存のために」行動できるのかという議論が盛んに行われた.
- この論争史は徹底的にレビューされているので,ここでは簡単に触れておくだけにする.論争史に興味がある人が読むべき本や論文がいくつかあるが,それらの論争の価値についての結論は必ずしも一致していないので注意が必要だ.特にダーウィンがどういう立場であったかについては今日でも意見の一致がない.
ここでいくつかの書籍と論文が紹介されている.なかなか懐かしい本も多い.なお最も読むべき本としてはオカシャの「進化と淘汰のレベル」が推奨されている
最も読むべき本
論争を扱いグループ淘汰批判的な本として
同じくグループ淘汰支持的な本として
最近のよくできた一冊として
アンソロジーとして
なおダーウィンが個体淘汰支持的かグループ淘汰支持的かという科学史的な論文としては以下が参照されている
philpapers.org
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov








