Madame Bovary's Ovaries: A Darwinian Look at Literature
- 作者: David P. Barash,Nanelle R. Barash
- 出版社/メーカー: Delacorte Press
- 発売日: 2005/04/26
- メディア: ハードカバー
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最初は目次を見て,結構有名なものが題材にとられているのでこれなら何とかと思って購入してみたのだが,やはり本文にはがんがん英米文学が出てきて結構きつい.しかしネットであらすじ検索しながら読むという荒技を開発してからは読み進めるようになった.
今日は第6章と第7章
第6章はkin selection
とられる題材は映画Godfather.ドン・コルレオーネの生き方もこう解説されるとさらにしびれますね.ジャングルブックでfictive kinが解説されてにんまり.ソフォクレスのアンティゴネーとかスタンダールのパルマの僧院あたりはまだ聞いたことがあるが,Louis Begley のWartime LiesとかWilliam Golding のPincher Martinあたりはなかなか苦しい.
「実は誰それと誰それは親子であった」物語の解説も面白い.なぜそれで問題解決大団円の気分になるのかと問われれば血縁選択としかいえないのでしょうなあ.アエアネスのローマ建国物語もそういわれてみれば子孫繁栄のためにカルタゴの女王ディドを捨てるひどい話だよね.現代のアメリカでも子孫のためといわれると納得してしまう人も半分ぐらいいるというのも面白い.
最後は家同士の戦いの話.Faulkner の小説では延々と没落していく家系が描かれているそうだ.暗そう.
第7章は継子いじめ
シンデレラ(英語の愛称はCindyらしい)ではあまりに陳腐ということで題材はレミゼラブルとハリーポッター.確かにハリーポッターも継子いじめから始まりますな.日本の紅皿というシンデレラストーリーも紹介されるがこれは初耳でした.
登場するのはオリバーツイスト,リア王,戦争と平和,ジョイスのユリシーズ,源氏物語,Thomas HardyのThe Mayor of Casterbridgeなど.
つづいて継子と養子の違いが説明される.ジョージエリオットのサイラス・マーナーが題材.人間は進化環境では子供の取り違えがまず起こらないのでそこのdiscriminationは進化していない.だから養子が可能だというもの.
本の狙いは文学に題材をとりながら,(文学の偉大さをアピールしつつ)進化心理学に親しんでもらおうというものだが,むしろ進化心理学がわかっている人がもう一度小説のプロットの構造を理解するのにいいのではという感じである.(進化心理学を知らない人からは反発がまずくると思うなあ・・・そんなこといわれなくても当たり前じゃないのとか)あと英米文学の素養が問われてしまうので,私のような特に英米文学に詳しくない読者には苦しいでしょう,というか反省.