書評

書評 「進化の技法」

進化の技法――転用と盗用と争いの40億年作者:ニール・シュービンみすず書房Amazon 本書はティクターリクの発見で有名な古生物学者ニール・シュービンによる生物の革新的形質がどのように進化していくのかを,用途の転用,発生メカニズムと進化拘束,DNA配列,…

書評 「不平等の進化的起源」

不平等の進化的起源: 性差と差別の進化ゲーム作者:ケイリン・オコナー大月書店Amazon 本書は,科学哲学者でありかつ進化ゲーム理論家であるケイリン・オコナーによる進化ゲームの均衡解として(差別的偏見がなかったとしても)社会的カテゴリー間の不平等を…

書評 「武器を持たないチョウの戦い方」

武器を持たないチョウの戦い方: ライバルの見えない世界で (新・動物記 2)作者:竹内 剛京都大学学術出版会Amazon 本書は京都大学学術出版会の「新・動物記」シリーズの一冊.著者によるチョウの行動の研究物語だが,その中心になるのはこれまでナワバリをめ…

書評 「Flights of Fancy」

Flights of Fancy: Defying Gravity by Design and Evolution (English Edition)作者:Dawkins, RichardApolloAmazon 本書はリチャード・ドーキンスによる飛翔についての本.進化適応としての飛翔,ヒトのデザインによる飛翔をともに扱っている.ここしばらく…

書評 「花と動物の共進化をさぐる」

花と動物の共進化をさぐる: 身近な野生植物に隠れていた新しい花の姿文一総合出版Amazon 本書は種生物学会シリーズの最新刊.テーマは送粉をめぐる植物と動物の共進化になっており,特定の共生関係の研究事例が数多く収録されている. 第1章はこの分野の大御…

書評 「仲直りの理」

仲直りの理作者:大坪庸介ちとせプレスAmazon 本書は進化心理学者大坪庸介による仲直りについての本である.仲直りの進化的な意味,究極因と至近因が非常に丁寧に解説されている. 「はじめに」において著者は夏目漱石の「坊ちゃん」における主人公と山嵐の間…

書評 「Rationality」

Rationality: What It Is, Why It Seems Scarce, Why It Matters作者:Pinker, StevenAllen LaneAmazon 本書はピンカーによる「合理性」についての一冊.ピンカーは「The Better Angels of Our Nature(邦題:暴力の人類史)」,「Enlightenment Now(邦題:2…

書評 「読む・打つ・書く」

読む・打つ・書く: 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々作者:三中 信宏東京大学出版会Amazon 本書は三中信宏による理系研究者のための読書論,書評論,そして執筆論の本だ.一気呵成に迸るように書かれた文章は迫力十分で,そしてすべては自分の(研究…

書評 「Life Changing」

Life Changing:ヒトが生命進化を加速する作者:ヘレン・ピルチャー化学同人Amazon 本書はヒトが生物世界にどのような影響を与えているのか(本書では「ポスト自然史」と呼ばれている)についての本だ.著者は細胞生物学の博士号を持つサイエンスライターであ…

書評 「蝶はささやく」

蝶はささやく: 鱗翅目とその虜になった人びとの知られざる物語作者:ウェンディ・ウィリアムズ青土社Amazon 本書はサイエンスライターであるウェンディ・ウィリアムズによる蝶,蝶に魅せられた(あるいは取り憑かれた)人々,そしてオオカバマダラの北米大陸…

書評 「人間の本質にせまる科学」

人間の本質にせまる科学: 自然人類学の挑戦東京大学出版会Amazon 本書は若手研究者たちにより執筆された自然人類学の総説・入門書になる.内容的には東京大学の駒場の1,2年生向けのオムニバス講義がもとになっているようだ.自然人類学は「人間とは何か」と…

書評 「最後通牒ゲームの謎」

最後通牒ゲームの謎---進化心理学からみた行動ゲーム理論入門作者:小林 佳世子日本評論社Amazon 本書は最後通牒ゲーム(および独裁者ゲーム)の謎についての本である.著者はミクロ経済学から学問の世界に入り,ゲーム理論の魅力にはまり,行動経済学,進化…

書評 「When Men Behave Badly」

When Men Behave Badly: The Hidden Roots of Sexual Deception, Harassment, and Assault (English Edition)作者:Buss, DavidLittle, Brown SparkAmazon 本書は進化心理学者デイヴィッド・バスによるヒトにおける性的コンフリクト,特に男性の配偶戦略が引…

書評 「アント・ワールド」

アント・ワールド ~アリの世界作者:エドワード・O・ウィルソンニュートンプレスAmazon 本書は1929年生まれで(原書出版時の2020年時点で)90歳を越えるE. O. ウィルソンにより書かれたアリの本だ. ウィルソンは進化生物学の世界ではもはや生きる伝説とも呼…

書評 「アメリカン・ベースボール革命」

アメリカン・ベースボール革命: データ・テクノロジーが野球の常識を変える作者:ベン・リンドバーグ,トラビス・ソーチック化学同人Amazon 本書は「マネー・ボール」に始まるメジャーリーグにおける数理統計やデータサイエンスの応用の最新動向を扱った本にな…

書評 「ダーウィンが愛した犬たち」

ダーウィンが愛した犬たち作者:エマ・タウンゼンド,渡辺政隆勁草書房Amazon 本書は「イヌとのかかわり」という視点にフォーカスして書かれたダーウィンの伝記になる.原書の出版は2009年で,生誕200周年,「種の起源」出版150周年に合わせた企画ものの1つだ…

書評 「Books do Furnish a Life」

Books do Furnish a Life: An electrifying celebration of science writing (English Edition)作者:Dawkins, RichardTransworld DigitalAmazon 本書はリチャード・ドーキンスによる(さまざまな本に対する)序文や書評を集めたもの.これまでドーキンスの短…

書評 「進化でわかる人間行動の事典」

進化でわかる人間行動の事典朝倉書店Amazon 本書は進化視点にたったヒトの行動の事典になる.さまざまなヒトの行動のなかから「遊ぶ」「争う」「歩く」から「恋愛する」「笑う」まで(50音順)43項目を選び出し,それぞれの行動について機能(究極因)と進化…

書評 「オールコック・ルーベンスタイン 動物行動学 原書11版」

オールコック・ルーベンスタイン 動物行動学 原書11版丸善出版Amazon 行動生態学は1970年代以降大きく興隆し,1980年代〜1990年代には様々な解説書や教科書が出版された.その中で改訂を繰り返して,代表的な教科書とされてきたのが,クレブスとデイビスの「…

書評 「The Slow Moon Climbs」

The Slow Moon Climbs: The Science, History, and Meaning of Menopause (English Edition)作者:Mattern, Susan発売日: 2019/10/08メディア: Kindle版 本書はヒトの「閉経」について進化生物学,歴史,文化という3つの視点から読み解いていく重厚な本だ.著…

書評 「善と悪のパラドックス」

善と悪のパラドックス作者:リチャード・ランガム,依田卓巳発売日: 2020/10/21メディア: Kindle版 本書はリチャード・ランガムによるヒトの本性(特にその他者への寛容性と攻撃性)に関する本だ.本書のキーワードは「反応的攻撃性」と「能動的攻撃性」の区別…

書評 「Why the Law Is So Perverse」

Why the Law Is So Perverse (English Edition)作者:Katz, Leo発売日: 2011/07/30メディア: Kindle版 本書は法学者レオ・カッツによる「なぜ法律はあんなにヘンテコなのか」を意思決定論の視点から説明する本になる.カッツは少し前に刑法の原則にかかる様々…

書評 「Adaptive Markets 適応的市場仮説」

Adaptive Markets 適応的市場仮説: 危機の時代の金融常識作者:ロー,アンドリュー・W.発売日: 2020/05/29メディア: 単行本 本書は金融学者で自身クオンツファンドに関わる経験もしているアンドリュー・ローによる効率的市場仮説についての本である.本書の中…

書評 「Survival of the Friendliest」

Survival of the Friendliest: Understanding Our Origins and Rediscovering Our Common Humanity (English Edition)作者:Hare, Brian,Woods, Vanessa発売日: 2020/07/14メディア: Kindle版 本書は進化人類学者で比較認知学者でもあるブライアン・ヘアとや…

書評 「共生微生物からみた新しい進化学」

共生微生物からみた新しい進化学作者:政美, 長谷川発売日: 2020/06/22メディア: 単行本 本書はゲノム配列からの系統樹推定法などの研究で有名な遺伝学者長谷川政美による共生微生物をテーマにした一冊.長谷川は退官後,興味深い分野を一から勉強し,自身の…

書評 「アリ語で寝言を言いました」

アリ語で寝言を言いました (扶桑社BOOKS新書)作者:村上 貴弘扶桑社Amazon 本書は中南米のアリの専門家村上貴弘によるアリの本.中南米にはハキリアリ,グンタイアリ,ヒアリ,アルゼンチンアリなど進化の末にすさまじい能力や習性を獲得したアリが多い…

書評 「文化進化の数理」

文化進化の数理作者:田村 光平発売日: 2020/04/09メディア: 単行本(ソフトカバー)本書は文化進化の第一線の研究者田村公平による文化進化リサーチの手法,およびそれを用いたリサーチ例の解説書になる.文化進化についての概説書にはメスーディの「文化進…

書評 「統計学を哲学する」

統計学を哲学する作者:大塚 淳発売日: 2020/10/26メディア: 単行本(ソフトカバー) 本書は応用統計学にも造詣の深い科学哲学者大塚淳による統計学の哲学の入門書になる.序章では本書について「データサイエンティストのための哲学入門,かつ哲学者のための…

書評 「進化生物学からせまる」

進化生物学からせまる (シリーズ群集生態学)発売日: 2009/03/01メディア: 単行本 本書はシリーズ群集生態学の第2巻になる.出版は2009年で,私としてはアダプティブダイナミクスの勉強のために購入し,該当箇所だけ読んでそのままになっていたところ,先日こ…

書評 「生物群集を理解する」

生物群集を理解する (シリーズ群集生態学)発売日: 2020/09/25メディア: 単行本 本書はシリーズ群集生態学の一冊.既に2巻から6巻は10年以上前に刊行されており,本書は第1巻でありながら実質最終巻となる.なぜこんなに刊行が遅くなったのかと不思議に思いな…