「恐竜学入門」

恐竜学入門―かたち・生態・絶滅

恐竜学入門―かたち・生態・絶滅


本書はアメリカで出版されている恐竜についての本格的な教科書である.原題は「Dinosaurs: A Concise Natural History」.本訳書は2012年の第2版が元になっている.今年初めの出版で,あまり書店でも見かけずに購入しそこなっていたが,三中先生がツイッターで「読むしかない」とつぶやかれたのを見て即アマゾンでポチったものだ.
三中先生が本書を推薦するのは,本書の恐竜の記載が基本的にへニック直伝の分岐学の最節約原理に基づいているからだと思われる.現在よく見かける現生動物の系統樹復元についての解説は,ほとんどがDNAなどの分子的な証拠に基づいており,さらにコンピュータパワーの増大により,その多くは最尤法的な手法が用いられている.(しかもそれらの解説においては読者の興味の範囲外ということでほとんど推定手法の説明はなされない)しかし古生物においては分子的なデータはほとんど得られず,形態的な分析データを用いる最節約法が今も現役なのだ.そして多くの古生物学分野の中でも恐竜については分岐学が早くからデフォルト的に用いられていたようだ.だからこの本は形態データの最節約法に親しみを感じる読者にとってはまさに至福の一冊ということになる.

とはいえ本書のテーマは分岐学ではなく恐竜についての総説である.そしてもちろん私も少年の頃から恐竜は大好きだった.尾を引きずりながら咆哮するティラノサウルス,それに角を低く構えて迎え撃つトリケラトプス,沼地から首をもたげるブロントサウルス,のろのろ動くステゴサウルスなどの話に熱中したものだ.そして1980年代の初めに恐竜ルネサンスに触れる.最初にこれを意識したのはマクローリンによる「恐竜たち:古い竜についての新しい考え」という本だった.そして極めつけはロバート・バッカーによる「恐竜異説」だ.これは衝撃的だった.尾なんか誰も引きずらない陸生で内温性の優雅な恐竜観.獣脚類は獲物を追って敏捷に疾走する捕食獣で,竜脚類は後ろ足で立って高い木の葉を食いちぎり,鳥盤類は被子植物と共進化した.しばらくして創刊された恐竜専門雑誌「恐竜最前線」は欠かさずに購入して読みふけったものだ.(思い返してみると当時確かに「恐竜最前線」は分岐学やら分岐図にあふれていた.)
その後も,絶滅論争,起源論争,羽毛恐竜の発見などで恐竜は常に新しい興味をかき立てる存在であり続けた.そして個別のテーマについてはいろいろな一般書が出されているが,日本語で読める総説的な本を目にすることはあまりなかった,そのような状況の中,本書の登場は恐竜ファンには嬉しいところだろう.

第1部 過去をたぐり寄せる

本書はいかにも教科書らしく基礎分野,周辺分野の概説から始まる.
最初は「化石」.化石の成り立ちから発掘の現場の有様までガイドしていて詳しい.最後はクリーニングと復元展示まで扱っていて,アメリカ自然史博物館の「獲物を襲撃しようとするアロサウルスと後ろ足で立ち上げるバロサウルス」の骨格展示の写真で終えている*1
続いて「初歩の地質学」.年代決定,層序の一般論のあと,中生代の大陸配置と気候が解説される.ここでは章末にプレートテクトニクスの解説コラムがあるのだが,インディー・ジョーンズ風のアメリカンコミック仕立てになっていて楽しい.
そして「進化と系統学」.相同,系統樹,標徴形質,分岐図,クレード,単系統群,最節約原理,系統学の科学性が延々と解説されて,最後に少しだけ進化の概説もあるという構成が著者たちの分岐学への傾倒振りを明白に物語っているところだ.*2
最後に橋渡しの章として「恐竜に至までの系統樹」が解説される.まず分岐学にしたがって,脊索動物から四肢動物までの8つの分岐にかかる共有派生形質が取り上げられた後,四肢動物の骨格図が描かれ,今後の記述のための骨の名前図鑑となっている.そして恐竜に至る道として四肢動物,羊膜動物,双弓類,主竜形類,主竜類,ワニ類および鳥頚類*3,鳥頚類(翼竜類と恐竜類が含まれる単系統群),そしてようやく恐竜類への分岐図と共有派生形質が解説されている.ここではよく恐竜と混同される首長竜や魚竜の分岐図上の位置が描かれていなくて少し残念だ.最後に恐竜類は竜盤類と鳥盤類を含む単系統群で,かつて提唱されてた起源動物群としての槽歯類は否定されていることが解説されている.

第2部 鳥盤類

ここからは系統樹に沿って分類群ごとの恐竜の解説が行われる.第2部は鳥盤類,第3部の竜盤類と合わせて本書の中心になる部分だ.かつての多くの恐竜解説書はまず竜盤類,そして鳥盤類という順序で書かれていた.これは鳥盤類はかなり特殊な適応を遂げた派生的なグループであり,竜盤類が起源グループだという想定が元になっている.本書は「厳密に系統学の基準を適用すると竜盤類も鳥盤類と同じく派生的であって,どちらが起源的かは本当にわからない」という立場に立ち,より系統樹がシンプルな鳥盤類から解説するということらしい.

最初に鳥盤類とは何かが共有派生形質を用いて定義される.最も重要な共有派生形質は有名な「後ろ向きに伸びる恥骨」のほかもうひとつあって,「前歯骨という下顎の先端を覆うスコップ状の骨」だそうだ.前者は胴体に円筒形の大きな消化器系を収めることを可能にし,後者は下顎のクチバシとして機能した.また多くの鳥盤類恐竜の顎は歯隙を持ち,顎関節面より上に歯列が来ており,植物を大量に加えて咀嚼する方向に適応していることが読み取れると強調されている.分岐図的には鳥盤類(そこからレソトサウルスが分岐),ゲナサウリア類(そこから装盾類が分岐),角脚類がノードとなり,角脚類は周飾頭類と鳥脚類に分岐する.

最初の詳説グループは装盾類.重要な共有派生形質は「背部に平行に並んだ皮骨板」だ.ここにはステゴサウリア類(剣竜)とアンキロサウリア類(鎧竜)という大きな2つのグループが含まれる.
ステゴサウリア類は,「棘状(もしくは板状)の皮骨板」と「前肢の長さと後肢の長さが大きく異なること」が共有派生形質になる.後者の特徴からゆっくり移動したことが示唆される.記述の中で面白いのは「脳が何個あったか」という問題についても解説があることだ.思い起こすと私が子供の頃には恐竜豆知識として「ステゴサウルスには腰に第2の脳がある」ということが喧伝されていた.確かに骨盤に空洞はあるが,脳があったというのはある研究者の憶測に過ぎず,この空洞の意味について厳密にはわかっておらず,あるいはグリコーゲンの貯蔵場所だったのかもしれないという説明になっている.またステゴサウルスの大きなプレートの適応的意義についても,体温調節のためという説が有名だが,成長速度が遅かったことから見て説得的ではなく,実際にはよくわかっていないとしている.なお謎の多い恐竜なのだ.
アンキロサウリア類は首から尾に渡る骨製のプレートと棘で身体が覆われていることが特徴だ.このグループはさらにノドサウリダエ類とアンキロサウリダエ類に大きく分かれる.ここで興味深いのはもちろん尾の棍棒の解説だ.硬く素速く振り回せたと考えられ十分な威力があったが,防御として最も重要だったのは丸まってうずくまることにあっただろうとしている.

次は周飾頭類.共有派生形質としては「細長い頭頂骨の棚状突起が後頭部を覆い尽くすこと」がある.ここにはケラトプシア類(角竜)とパキケファロサウリア類(堅頭竜)が含まれる.
パキケファロサウリア類の最も目立つ共有派生形質は当然ながら「頭蓋天井の厚さ」だ.パキケファロサウルスといえば,オオツノヒツジに触発されたオス同士の頭突き闘争仮説が有名だが,本書では多くのパキケファロサウルア類で破壊槌としての適応形質も見られるが,スティギモロクでは頭蓋ドームに多くの血管が発達しており,ディスプレイ用だった可能性もあるとしている.いずれにせよこのドームの大きさについては性差が認められており性淘汰形質であったことは間違いないようだ.
ケラトプシア類については多くのことがわかっており詳しい.興味深いところでは,有名な論争でもある前肢の姿勢の問題がある.本書では双方の主張を紹介した後,筋肉の付着領域を元に完全直立説に好意的な記述となっている.そのほか食性(角芯からなるクチバシ,歯隙,デンタルバッテリーなどの植物食への見事な適応がある),角やフリルの役割(角の役割について,昔は捕食者からの防御が強調されていたが,近年では性差の発見とともにフリルとともに性淘汰形質と考えられる様になってきている),分岐図(まずプシッタコサウルス類とネオケラトプシア類に分かれ,後者はセントロサウリナエ類とカスモサウリナエ類に大きく分岐する,有名なトリケラトプスは後者に属する),地理分布(意外にも出土地は限定されている.アジアから北米への分散の状況がよく推定されている)なども非常に詳しくて大変面白いところだ.

最後は鳥脚類.角脚類からまず周飾頭類が分岐し,その後アギリサウルス類が分岐し,鳥脚類としての単系統群を形成する.厳密に定義された共有派生形質はなかなか専門的で難しいが,基本的に二足歩行に近い四足歩行を行い,植物を摂取し,可動的咀嚼(プレウロキネシス)を行う恐竜であった.分岐が進んだ後にイグアノドンティア類という大きな単系統群を持ち,さらにその中にハドロサウリダエ類というこれまた大きく適応放散した単系統群を持つ.この分類群もよく知られている恐竜であって説明は詳しい.面白いところではランベオサウルス類のコミュニケーションにかかる論争が紹介されている.ここでも空洞やとさかの形状に性差が見つかっており,音声や視覚的シグナルによる性淘汰形質としての説明に好意的だ.

第3部 竜盤類

竜盤類は竜脚類,獣脚類,そしてその中の鳥類を含む単系統群だ.多様なグループを含むが,明確な共有派生形質があるとされていて「外鼻孔の前端方向へ孔が広がること」「胴椎にハイポスフェン・ハイパントラム関節を有すること」「手の第一指が内側を向いていること」などいくつか挙げられている.このあたりが最節約法の醍醐味ということだろう.

まず竜脚形類.共有派生形質は「小さな頭骨」などいくつか指摘されている.このグループは古竜脚類竜脚類に大きく分岐する.
竜脚類は手に鉤爪があるのが特徴で,これが何に用いられたかはわかっていない.かつては竜脚類の祖先型と考えられたこともあったが,十分に特殊化しており,共通祖先から分かれたあとの単系統群と認識されている.
竜脚類は巨大な恐竜を産みだしたことで有名なグループだ.本書ではその巨大さを可能にしたデザインの秀逸性が詳しく紹介されている.「長い首」の問題は特によく論じられていて読み応えがある.高い樹上の葉を食べるための適応という考えについては(前肢の長い)ブラキオサウルスを除いてはやや否定的だ.バッカーの「後ろ足と尻尾で立ち上がって首を伸ばした」という考えについては腰部のデザイン,脳への血圧の問題から難しいだろうとされている.ブラキオサウルスについてはやや歯切れが悪いが,いずれにせよ血圧の問題が未解決で推測することしかできないとしている.そのほか食性,移動様式,群れを作っていた証拠,卵化石の発見などが解説されている.また分岐図に合わせて個別の恐竜種の解説も詳しくなされており,充実している.

獣脚類は非鳥類獣脚類,鳥類の起源,鳥類と3章にわかって書かれている.分岐学に従っているので当然だが,鳥類を恐竜としてきちんと扱っているのが本書の姿勢をよく示している.

獣脚類は「中空の椎骨と長骨(四肢骨や肋骨などの細長い骨)を持つこと」など多くの共有派生形質で特徴づけられる.一般的に追跡,襲撃,捕食に適応しており,完全二足歩行する.そのための形態特徴,そこから推測される行動特性が詳しく論じられていてここも読みどころになっている.面白い論点としては,ティラノサウルスの腐食性(いろいろな議論を紹介した後,狩りの能力はあっただろうし,手に入れば腐肉も食べただろうとまとめている),羽毛(ユウティラヌスの羽毛発見で,ティラノサウルスにも羽毛があった可能性が高いとしている),色彩,性差と社会性,化石の中の軟組織の分析(ティラノサウルスのタンパク質の一部が分析されたという報告について紹介している)などがある.分岐図も詳しく解説されていて,大型獣脚類で何度か収斂が生じたことが指摘されている.
鳥類起源の解説においては,まずその特徴を並べ,その多くが獣脚類と共有されていることを見る.続いてアーケオプテリクス(始祖鳥)について詳しく解説があり,アーケオプテリクスと現生鳥類を含む単系統群としてのアヴィアエラ類をいくつかの共有派生形質で定義し,さらにより広い単系統群としてエウマニラプトル類(デイノニクスを含む),テタヌラエ類(ティラノサウルスを含む),獣脚類と広がっていく様子を詳しく記述している.このあたりは形態分岐学から見た場合,いかに「鳥類の起源は獣脚類である」という結論が揺るぎないかをよく示している.そして非恐竜起源説の最後のよりどころになった指の相同問題がいかに解決されたかを解説して補強している.その後羽毛について,まず何のための適応なのかについて断熱説とディスプレー説を解説し,発生から見た場合の羽毛,化石に見られる羽毛を解説している.このあたりは最近の話題だけあって詳しいし,著者たちの熱気も伝わってくるようだ.
続いて初期の鳥類の解説になる.アヴィアエラ類から現生鳥類にいたる詳しい分岐図が添えられていて,鳥好きとしては読んでいて楽しい.少し前まではこのあたりの解説本ではアーケオプテリクスの次はヘスペロルニスまで飛んでいたのだが,最近の発見によってその間についても急速に知見が集積している様子がよくわかる.とはいえ,なお空白も多く謎は残っているようだ.著者たちはモノニクスについて鳥類的な部分と全く鳥類的でない部分が寄せ集まっていてなおうまく分岐図の中に収められないと指摘している.一部の形質は収斂なのだろうが,間を埋める化石が見つかるまでは謎のままということのようだ.

第4部 恐竜の内温性,地域固有性,起源と絶滅

最後の第4部では恐竜をめぐるその他の話題を扱っている.
まずは恐竜ルネサンスの中心話題であった内温性の問題について.著者たちはまず,基礎の生理学を説明した後,恐竜ルネサンスから始まる様々な議論,リサーチを丁寧に追っていく.ここは完全直立制の姿勢,二足歩行,運動性,捕食者と被捕食者の比率,脳の大きさとの関係,体重の推定,気候帯ごとの分布,成長速度の推定,ハバース管をめぐる議論,安定同位体を用いる温度比較などが次々と紹介されていて読み応え十分だ.そして最終的に内温性と外温性の問題が1か0かの問題ではないことを説明した後に,恐竜が少なくともワニのような外温性ではなかったことは確実で,おそらく(鳥類も含み)体サイズや行動戦略や周囲の環境に合わせた様々な固有の代謝戦略を採っていたのだろうとしている.
続いて中生代を通じた四肢動物の生物多様性の変遷の問題が解説されている.これは大陸の配置,地理的分布,化石をめぐる統計的な議論,植生との関連(バッカーの「被子植物と鳥脚類の共進化適応放散仮説」については彼等のミイラ化石の胃内容物から被子植物が見つかっていないことからやや懐疑的だ)などを交えながら解説されていて楽しい歴史物語になっている.ジュラ紀の後期の巨大恐竜の隆盛,白亜紀後期の恐竜多様性の増大は印象的だ.
ここで学説史が恐竜学者列伝として紹介されている.息抜きの章としての企画らしく,いかにも楽しそうに様々な学者の逸話を紹介している.オーエン卿の偏屈,マーシュとコープの大立ち回り,ロイ・チャップマン・アンドリュースがインディー・ジョーンズのモデルとされていること,ノプシャ男爵の活躍など有名な逸話ももらさずに収録されているし,メイヤーによる「グリフィンはケラトプス類の化石がインスピレーションを与えた結果だ」仮説,ドロによるベルニサールのイグアノドン化石の発掘,スターンバーグ一家の筏によるアルバータ州の発掘キャンペーン,アフリカのテンダグルーを発掘したドイツ探検隊など,私のあまり知らなかった話も収録されていて嬉しい.
ここで恐竜の起源問題が扱われている.結局起源問題と恐竜の定義は密接に関連するが,ここでは竜盤類と鳥盤類のみを含む単系統群として話を進めている.すると恐竜と最も近縁な動物群としてマラスクスやシレサウリダエ類があり,最古の恐竜化石としてはエオラプトルが上がってくることになる.このあたりも翼竜やワニ類との分岐も含めて丁寧に解説されていて読んでいて面白い.
そして最後に絶滅問題が解説される.アルバレス父子の小惑星衝突説とその検証を様々な角度から丁寧に解説し,絶滅論争全体を俯瞰する.ここは簡潔に論争の様々な議論が要約されていて充実した章になっている.


以上が本書の内容で,教科書としても見事な出来だし,読み物としても素晴らしい.また全編にシビックによる正確かつ渋いイラストが散りばめられていて(最近よく見かけるような,可能性の範囲内で思い切って羽毛や色彩を強調するイラストではなく,骨格イラストを多用した教科書としての抑えた表現が味わい深い)眺めていて飽きない.恐竜ルネサンス,絶滅論争,鳥類の起源論争,羽毛恐竜の発見を経た恐竜観を基礎から学びたいという人にはまたとない本だろう.全恐竜ファンに強く推薦する.


関連書籍


原書

Dinosaurs: A Concise Natural History

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恐竜ルネサンスを語る最高の一冊.バッカーの発想は当時としては飛び抜けて独創的で刺激的だった.

恐竜異説

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同原書

The Dinosaur Heresies: New Theories Unlocking the Mystery of the Dinosaurs and Their Extinction

The Dinosaur Heresies: New Theories Unlocking the Mystery of the Dinosaurs and Their Extinction


私が最初に読んだ恐竜ルネサンス本.

恐竜たち―古い竜についての新しい考え (1982年)

恐竜たち―古い竜についての新しい考え (1982年)


イラストが素晴らしい本としてはこれ.

肉食恐竜事典

肉食恐竜事典


絶滅論争のまとめとしてはこの本.私の書評はhttp://d.hatena.ne.jp/shorebird/20120210


羽毛問題はこの本.私の書評はhttp://d.hatena.ne.jp/shorebird/20130524

羽―進化が生みだした自然の奇跡

羽―進化が生みだした自然の奇跡




なおしばらく多忙になりますので,本ブログの更新は2週間ほど停止する予定です.



 

*1:この復元展示はグールドのエッセイか何かで読んで以来私の憧れの1つだった.そして後年ニューヨークを訪れたときには何よりも先にこの展示に駆けつけ,その迫力にしばし見とれたことを思い出す.

*2:なお分岐図の議論を説明するコラムで,「腕時計の系統樹」として「ねじ巻き式時計」と「デジタル時計」と「クオーツ時計」の分岐を考えるという趣向が採られているが,何を持ってデジタル時計というのかという定義もなく(デジタル式ねじ巻き時計もデジタル式クオーツ時計もあるではないか,ねじ巻きと自動巻きと電池式クオーツにしていれば少しはわかりやすかっただろう),漸新的にある形態から別の形態に入れ替わったわけでもなく,控えめに言ってもわかりにくく読者を混乱させるだけのような気がする.やや企画倒れだろう

*3:なぜかここだけ単系統群の名前が省略されている