「ささやかな知のロウソク:ドーキンス自伝 II」

以前私が書評したドーキンスの自伝の第二巻が,原著出版後1年半を経てようやく邦訳出版された.邦訳出版時期が特に遅いわけではないが,自伝の第一巻は原書出版後9ヶ月で邦訳がでていたので,今回は随分待たされたと感じる人も多いだろう.(なお本書はハードカバー出版後のタイムラグ1週間でKindle化されるようで喜ばしい.)原題の「Brief Candle in the Dark」は「暗闇の中の短いロウソク」というほどの意味だが,シェイクスピアマクベスの台詞をカール・セーガンが科学について語るために引用したという経緯を受けたもので,なかなか日本語にうまく訳出するのは難しかっただろう.「ささやかの知のロウソク」はなかなか苦心の跡が見えるいい邦題だと思う.

第一巻は生い立ちから「利己的な遺伝子」の出版までを時系列に沿って描いたオーソドックスな自伝だったが,第二巻は,趣向を変えて,後半生についてテーマごとの想い出と逸話集のような体裁で書かれ,ジガバチのESSリサーチ,クリスマスレクチャー,「延長された表現型」以降の主張な著作の解説などが次々に語られている.そして最後に自分がこれまでに主張してきたことをテーマごとに解説する長い章を置いて締めくくっている.ファンにとっては必読書だ.

私の原書の書評はhttp://d.hatena.ne.jp/shorebird/20151027



原書

Brief Candle in the Dark: My Life in Science

Brief Candle in the Dark: My Life in Science


なぜか英国版のKindle版も出ていて価格設定が異なっている.いま見ると米国版のポイント込み1300円に対して,こちらはポイント還元が700ポイントついてポイント込みで650円ほどとお安くなっている.アマゾンの価格政策は謎だ.(2/26現在)

Brief Candle in the Dark: My Life in Science

Brief Candle in the Dark: My Life in Science



自伝第一巻原書.私の書評はhttp://d.hatena.ne.jp/shorebird/20131011 こちらは米国版Kindleの方が格安.現在ポイント込みで200円を切った価格設定になっている.(同じく2/26現在)

An Appetite for Wonder: The Making of a Scientist

An Appetite for Wonder: The Making of a Scientist


英国版.こちらはポイント還元込みで650円ほど.(同じく2/26現在)

An Appetite For Wonder: The Making of a Scientist

An Appetite For Wonder: The Making of a Scientist


同邦訳

好奇心の赴くままに ドーキンス自伝?

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