From Darwin to Derrida その151

 

第12章 意味をなすこと(Making Sense) その16

 
ヘイグは「意味は解釈過程の出力だ」という独自の見方を提示して,これにより意味をめぐる難解な哲学的議論が明解に整理されることを示した.ここから情報理論とのかかわりが解説される.
 

情報理論と意味
  • 通信(communication)の基本的な問題は,ある時点で正確にあるいはおおまかに複製された情報が別の時点で選択を受けるということだ.メッセージにはしばしば意味がある.つまりそれは特定の物理的あるいは概念的なエンティティに参照されているか,何らかのシステムに沿って相関を持っている.これらのコミュニケーションの意味論的な様相はエンジニアリングの問題とはまた別のものだ.

クロード・シャノン

 

これはシャノンの1948年の「通信の数学的理論」にある一節のようだ.掲載誌は「Bell System Technical Journal」とされている.有名なベル研究所のジャーナルのようだ.ちょっと調べてみるとベル研究所は現在も存続しているが,ATTとの繋がりは切れ,紆余曲折の結果ノキアの子会社になっているようだ.
https://people.math.harvard.edu/~ctm/home/text/others/shannon/entropy/entropy.pdf

 

  • クロード・シャノンとウォーレン・ウィーバーはより広い通信理論の一部として情報理論を構築した.
  • ウィーバーは通信(communication)を「ある心が別の心に影響を与える全ての仮定を含む非常に広いセンス」で概念化した.彼は通信の技術的,意味論的,影響的な問題がわかっていた.技術的問題は送信者から受信者への移転の正確性に関連し,意味論的問題は送信者の意図した意味と受信者による解釈の比較に関連し,影響的問題は受信者に送られた意味が望まれた結果を生んだかという問題に関連する.これにより,ウィーバーは「情報」を技術的な問題の場合に,「意味」を意味論的問題と影響的問題の場合にと使い分けた.
  • シャノンの「通信の基本的問題」は技術的問題だった.彼はこの技術的問題に対してデザインスタンスをとり,その数学理論は意図の問題を無視した.
  • ウィーバーは,意味論的問題と影響的問題に対してインテンショナルスタンスをとった(意図された意味,望まれた結果).しかしこれらの問題は数学的には取り扱われなかった.

 
このデザインスタンスとインテンショナルスタンスはデネットの用語だ.ここではデネットの「The Intentional Stance」が参照されている.