From Darwin to Derrida その152

 

第12章 意味をなすこと(Making Sense) その17

 
ヘイグは「意味は解釈過程の出力だ」という独自の見方を提示したのち,情報理論を取り上げる.通信(communication)には技術的,意味論的,影響的の側面があるが,シャノンはその技術的側面にフォーカスし,ウィーバーは意味論的,影響的側面について考察し,そしてウィーバーはそこでデネットの志向的スタンスをとったと開設される.
 

情報理論と意味 その2

   

  • シャノンの理論では,実現したメッセージは,可能性のあるメッセージ群から選択されたものだ.彼は情報量の測度に(そのメッセージが別の態様でありえた数を示す)対数表記のエントロピーを用いた,

Wikipediaを参照すると以下のように説明されている.

\mathbb {M} を確率変数  M の発するメッセージ m の集合とし,p(m)=Pr(M=m) としたとき,M のエントロピーは次のようになる(単位はビット).
 
https://latex.codecogs.com/svg.image?H(M)=\mathbb&space;{E}&space;_{M}(-\log&space;p(m))=-\sum&space;_{m\in&space;\mathbb&space;{M}&space;}p(m)\log&space;p(m)


関数 H を確率変数で表すと次のようになる.
https://latex.codecogs.com/svg.image?H(p)=-\sum&space;_{i=1}^{k}p(i)\log&space;p(i)

 

  • ウィーバーにとっては,この考え方は情報量は「情報量はあなたが何を言ったかではなく,何を言えたかで決まる」ことを意味していた.情報は選択の自由度を表しているのだ.このような情報量は意味とは無関係だ.
  • シャノンにとっては,メッセージは特定の物理的あるいは概念的なエンティティに参照されているか,何らかのシステムに沿って相関を持っているなら意味を持つのだった.この概念化には2つの要素がある.それはメッセージと物の相関と,相関を生み出す「システム」だ.

 

  • ここに掲げたのはシャノンの1948年の論文にある有名な図だ.

  • この図はメッセージが情報源から選ばれ,送信機に送られ,シグナルに変換され,受信機に送られ,メーッセージに再変換され,目的地に届く様を示している.送信されるシグナルと受信されるシグナルはノイズのために異なるものになる.中心にある黒い四角は送信機と受信機の間のチャネル(経路)だ.送信前のメッセージと受信後のメッセージをできる限り一致させることが技術的なチャレンジになる.
  • ウィーバーはこう例示している:「私があなたにしゃべるとき,私の脳が情報源で,あなたの脳は目的地だ.私の音声システムは送信機で,あなたの耳と聴覚神経は受信機だ.」
  • ウィーバーもシャノンも,どのように情報源からメッセージを選ぶのか,目的地がどう解釈するのかについてはあまり詳しく語っていない.(そして送信機や受信機の内部メカニズムの働きについてもあまり語っていない)

 
ウィーバーがデネットの志向的スタンスをとったとあるので,その部分が解説されるかと思いきや,「あまり詳しく語っていない」で済まされているの,読んでいる方としてはちょっとずっこけるところだ.
 

  • 私の意味の解釈の立場から見れば,情報源,送信機,受信機,目的地は皆解釈者ということになる.
  • ウィーバーとシャノンは「情報の解釈」が重要な問題であることを認識していた.しかし彼等の注意は情報の伝達のところの集中していた.
  • 本章は,どのように伝達されるかではなく,どのように情報が使われるかを扱っており,解釈(情報の使用)の一般的な問題(通信つまりテキストの生成と解釈はその特殊ケースということになる)に関心を持っている.解釈のドメインには,環境からの意図せざる情報の使用も含まれる.

 
ともあれシャノンの図によってヘイグが何を取り扱っているのは少しわかりやすくなっている.