読書開始 「The God Delusion」

The God Delusion

The God Delusion



さてデネット本を読んで予習を済ませていよいよ本丸のドーキンス本だ.デネットはあえて取り上げなかった「そもそも神はいるのか」にまっすぐ切り込むみたいだから,さぞ切れ味鋭いのだろう.大変楽しみだ.手元にあるのは米国版,前にも書いたが,アマゾンの写真では上品なグレーのカバーに見えるが,実はこれはまったくぎらぎらする銀色のださいカバーで,これだけはちょっと残念.


今日はまず序章.この本の概要が示されている.
まずいきなり「世界には自分の宗教が信じられないが,それから逃れられることを知らない多くの人がいるのではないか?この本はそういう人たちのためのものだ.あなたは幸せで,道徳的で,知的に満足したまま無神論者になれるのだ.」とはじまる.ということは英米では知的に幸せで道徳的で満足したまま無神論者になれないという考えが一般的だと言うことなのだろう.さらにアメリカ人に読者に向けて,アメリカの宗教事情は本当に驚くべきものだとコメントして,無神論者は,ちょうど50年前のホモセクシュアルと同じように扱われていると指摘している.なんと,アメリカでのアンケート調査によると,選挙で他の点でまったくふさわしい人で,無神論者に投票すると答える人は49%にすぎない(同性愛者,モルモン教徒で79%.黒人,ユダヤ人は92%,カトリック94%,女性95%)ということだ.無神論者は人として扱われないという現実があるらしい.これもすさまじい話だなあと思わず溜息が出る.ドーキンスは「おそらく多くの教育を受けた人は無神論者で,それを表明していないのだろう.本書がそういう人たちがカミングアウトする役に立てればうれしい.ゲイの運動と同じだと思う.カミングアウトした無神論者が増えれば風潮は変わってくるだろう.」と序章を結んでいる.


序章にはこのほかの本書の第2目的として自然淘汰をあげ,不可知論が合理的でないこと,哲学者の神の実在についての証明がインチキであること,生物のデザインについての説明が予告される.

第3の目的は宗教がよいものかどうかの議論だ.宗教がこの世に満ちあふれていることの説明,道徳には宗教が必要かという議論,そして宗教による子供の洗脳についての議論が予告されている.これはデネットの宗教の説明と重なる話題になりそうだ.

無神論者として胸を張って生きていこうというのが本書の通奏低音と言うことらしい.