Kindle for iPadがバージョン2.2になっていた.早速ダウンロードしてみると見事にタップ辞書が使えるようになっている.これでiPad上で洋書を読むときにはiBooksでもKindle for iPadでもどちらでもタップ辞書つき,かつアノテーション可能で快適に読書が可能になった.本当に競争とは素晴らしいものだ.現在のところ微妙なユーザーインターフェースでややiBooksの方が使いやすいが,古い本の品揃えは(双方ともまだまだだが)今のところAmazonのKidleの圧勝という感じだ.新刊本の品揃えはほとんど互角(なお日本から購入するにはAmazonの方が容易だ)
今回利用可能になったKindleの辞書は25万語収録のThe New Oxford American Dictionary.(これは実はiBooksで開くのと同じ辞書だ)Kindle for iPadのバージョンアップ後,最初に起動したときにウィスパーリンクでダウンロードされる形になる.
iBooksの辞書は画面上にポップアップされて,その中をスクロールする形になるが,Kindleの辞書は画面下に3行のみ現れ,それ以上見たいときには全画面表示に切り替わる形になっている.本文から目が離れないという点においてはiBooksの方が快適だが,じっくり辞書を見たいときには全画面表示も捨てがたい.
Kindleでは今回のバージョンアップで,辞書のほかに,オンラインでグーグル検索とウィキペディア検索も可能にしている.これはiBooksではまだできない.(もっとも検索するとKindleが終了し,Safariに飛んでしまうので,使い心地はあまりよくない)
(8/11追記 iBooksでは「検索」からグーグルとウィキペディアに飛べることに気づいた.だからここでも同等だということになる)
また今回から本の中の語句検索が可能になった.(ここはiBooksに追いついた形だ)
上記以外の現時点でのiBooksとKindle for iPadの微妙な相違
- フォントの選択がiBooksでは可能だ.Palatinoが選択できるところは私的には重要なポイントだ.Kindleの古い本の場合にはスキャン時の非常に汚いフォントがデフォルトになっていることがある.それを変更できないのはちょっと読みにくい.
- ページ送りはiBooksのみアニメーション対応している.しかしここは読書時にはあまり重要ではないところだ.
- iBooksは背景に本のギミック(ページが重なって見えたり,ハードカバーの裏側が少し見えたりする)が仕込まれている.もっともこれは無い方が本に集中できるような気もする.読者が選べるようにして欲しいところだ.
- アノテーションはiBooksの方が大きくて黄色で入力しやすく見やすい.ただしアノテーションの一覧を見ようとするといちいち開かなければならないので面倒だ.Kindleではアノテーションの一覧をスクロールしながら確認できる.なお今回のバージョンアップで改善されているかどうかまだよく試していないが,少なくとも前バージョンのKindleのアノテーションは,日本語にするとしばしば落ちることがあって要改善だった.
- Kindle for iPadではiPadの標準の単語選択(ダブルタップ)が効かず,長押ししか機能しない.これはちょっと使いづらい.
- ハイライトをつけるときに一部のKindle本ではうまくハイライトしたい部分を選べない(なぜかある部分を選ぼうとしてもフラグが別の場所に飛んでしまい,余計な部分を込みにしてしかハイライトしたい部分を選択できないことがある).これはAmazonの電子書籍様式に絡む何らかの仕様ミスかバグだと思われるが,実際には大変フラストレーティングなことがある.
今回の辞書機能と検索機能の追加によって,iBooksとKindle for iPadの間に,本質的な部分で機能的な優劣はほとんどなくなったと言える.あとは英和辞書の組み込み可能になればいうことはない.
もっとも実はiBooksではこれは不可能ではないようだ.無サポート,無保証だがこのような解決策がある.http://hitoriblog.com/?p=342
現時点ではまだここまでは踏み切っていない.次期iOS4で純正対応してくれるのをひそかに期待しているところだ.