- 作者:リチャード・O・プラム
- 出版社/メーカー: 白揚社
- 発売日: 2020/02/14
- メディア: 単行本
以前私が書評した鳥類学者リチャード・プラムによる性淘汰本「The Evolution of Beauty: How Darwin's Forgotten Theory of Mate Choice Shapes the Animal World - and Us」が邦訳され「美の進化:性選択は人間と動物をどう変えたか」という邦題で出版されるようだ.
本書は選り好み型性淘汰について基本的にザハヴィ,グラフェンのハンディキャップではなくフィッシャーのランナウェイのメカニズムで捉えるべきだと主張し,様々な鳥類の性淘汰形質を解説し,さらにヒトの進化についてもその視点でいろいろななぞが解明できると主張する本になる.
この理論的な主張については「ランナウェイ過程はメスの選択にコストが少しでもあると安定平衡を持たない」という問題を全くスルーしているのでかなり奇矯な主張に止まっているが,様々な鳥類の性淘汰の有り様の紹介部分は大変素晴らしい.特にマイコドリについては読みどころだ.ヒトについての仮説についてはいろいろ穴もあるが野心的で刺激的な議論が多く収められている.性淘汰に興味のある人には大変面白い本に仕上がっているだろう.
私の原書書評はhttps://shorebird.hatenablog.com/entry/20170613/1497350790
原書
- 作者:Richard O. Prum
- 出版社/メーカー: Doubleday
- 発売日: 2017/05/09
- メディア: ハードカバー