Virtue Signaling その22


Virtue Signaling: Essays on Darwinian Politics & Free Speech (English Edition)

Virtue Signaling: Essays on Darwinian Politics & Free Speech (English Edition)

  • 作者:Geoffrey Miller
  • 出版社/メーカー: Cambrian Moon
  • 発売日: 2019/09/17
  • メディア: Kindle版
 
ミラーはニューロダイバージェントの人々がこれまでどのように取り扱われてきたのかをまず見ていく.
 

第6エッセイ 言論の自由に関するニューロダイバーシティの擁護 その3

 

なぜスピーチコードはもっとも創造的な人々を烙印を押すのか

 

  • 大学がスピーチコードを課すと,ニューロティピカルではない人(ニューロダイバージェントの人々:アスペルガー,双極性障害,その他のパーソナリティ障害者など)にとっては遵守不可能な基準を押しつけることになる.
  • 歴史的にはニューロダイバージェントな人々は極端な偏見によって迫害を受けてきた.その中で自閉症権利運動などの運動は社会の受容を求めてきた.そして最近では好意的に取り上げられるような本や映画も出てきている(テンプル・グランディンの一連の本,「ビューティフルマインド」などが紹介されている).

 

動物感覚 アニマル・マインドを読み解く

動物感覚 アニマル・マインドを読み解く

我、自閉症に生まれて

我、自閉症に生まれて

 
「動物感覚」についての私の書評は
https://shorebird.hatenablog.com/entry/20061015/1160912461

 

ビューティフル・マインド (字幕版)

ビューティフル・マインド (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video

 

  • 私が知っている真の天才のほとんどはニューロティピカルではない.そして彼等は大学のスピーチコードの遵守に困難を覚えている.
  • そしてこれはおそらくこの数千年間に文明を作り上げてきた素晴らしい思考家たちの大半にも当てはまるだろう.自伝から多分自閉症/アスペルガースペクトラムに該当しただろうと思われる天才たちを思い浮かべてみよう.バルトーク,ベンサム,ルイス・キャロル,マリ・キュリー,エミリー・ディキンソン,アインシュタイン,ロナルド・フィッシャー,・・・・(原文では合計22人の名が挙げられている).さらに現在のテックビリオネアたち(ポール・アレン,ビル・ゲイツ,イーロン.マスク・・・)もアスペルガー症候群の傾向を見せている.そして映画やテレビドラマでもおしゃべりで感受性に欠けるアスピーたちは単にマッドサイエンティスト役だけでなく,魅力的な主人公(トニー・スターク,シャーロック・ホームズ・・・)としても登場している.
  • 片方でニューロダイバージェントたちによる文明(特に科学やテクノロジーについて)への貢献は膨大なものだ.そしてもう片方でアカデミアにいるニューロダーバージェントたちは何らオフェンシブであろうとする意図なく発言したことで大衆の怒りを買っている.

 
文明や人々の生活の改善に大きく貢献するであろう人々(そして時には大衆から愛されるような人々)が,今や本人にはどうしようもないことにより,本来最も活躍が期待できる大学において苦境に立っているというのがミラーの見たてになる.