読書中 「Narrow Roads of Geneland Vol.3」第18章

Narrow Roads of Gene Land: The Collected Papers of W.D. Hamilton: Last Words (Narrow Roads of Geneland: The Collected Papers of W.D. Hamil)

Narrow Roads of Gene Land: The Collected Papers of W.D. Hamilton: Last Words (Narrow Roads of Geneland: The Collected Papers of W.D. Hamil)


第18章
Tomato Atractors on the Wall of an Abandoned Church

本章のエッセーは日本人研究者 佐々木顕博士によるもの
ハミルトンと出会い,論文を共著するまでのいきさつや,その中身が説明されている.
基本的にはホストとパラサイトの共進化の文脈で有性の無性に対する有利さをシミュレーションしたHAMAXモデルの拡張の論文である.このホストパラサイト集団がデームにわかれて分散を行うとどういうことが生じるのかということが問題の発端である.
前段ではハミルトンが来日したときに,有名な仏像を見せようと連れて行ってもすぐ道ばたの藪にはまりこんで植物や昆虫を見入ってしまい,ホスト役の伊藤先生をきりきり舞いさせるほほえましい姿が紹介されている.

ハミルトンのモデルはすぐに現実にある様々な条件を取り入れようと複雑になるのでそれを単純化するところがポイントであったと説明されている.そして有性が有利になる条件ではホストは遺伝的に大きく離れたペアが一定の間隔で卓越する.そしてパラサイトが追いつくとまた全く別のペアに転換するシミュレーションが得られた.この様子を2次元空間に描くとなかなか面白い模様が成長するようになる.このstrange pacemaker phenomenonをハミルトンはトマトアトラクターと呼んでおもしろがった.そしてその夢中になる様子は九州の道ばたでアリマキの色彩の多型を見つけたときの様子によく似ていたと回想されている.