読書中 「Genes in Conflict」 第2章 その4

Genes in Conflict: The Biology of Selfish Genetic Elements

Genes in Conflict: The Biology of Selfish Genetic Elements



第2章 Autosomal Killers その4


今日はショウジョウバエのSD染色体
本質的にはほぼマウスのtハプロタイプと同じ現象のようだ.どのように殺戮するかの分子的な詳細についてはまだよくわかっていないということのようだ.起源の推測はなかなか面白い.


要約


その他の接合子殺戮者


ショジョウバエの分離歪曲者(SD)


第2染色体上にある接合子殺戮者.マウスのtハプロタイプと似ているが違うところもある.
SD/+は95-99%でSDを子孫に伝える.野生型の精子は発達できず,オスの射精する精子はほとんどSDとなる.メスではSDは普通に伝わる.
tと同じく表現型に特に外形的にわかるものはない.染色体の動原体付近にあり,複数のドライブ領域とレスポンダー領域(ここにドライブ領域が作用して精子を殺戮する,SDではこれが不感になっている)が強く連鎖して存在している.
ほとんどのSDには逆位があるが,tと異なり多型であり固定していない.またホモになっても不妊にならないものもある.また歴史的も新しい.

重要な遺伝子座はSd(ドライブ)とRsp(レスポンダー).繰り返し領域(XbaI)が少ないと不感になる.Sdはクロマチンの濃縮と尾の形成を阻害するらしい.
Sdのエンハンサーもよく見つかる.

抵抗対立遺伝子
抵抗遺伝子にコストがあることがこのようなドライブ領域の進化には重要.発見された抵抗遺伝子にはコストがかかるようだ.しかしそれほど大きくないので野生でも見られる.

起源
まずくりかえし領域(XbaI)が何らかの淘汰圧により蓄積する.そして交叉によりこの繰り返し数は変異が多い多型になる.そして殺戮遺伝子Sdが突然変異により繰り返し数の少ない個体に生じ,連鎖しつつ増加する.そしてSDを持つ染色体が進化する.


ボックス2.1

バクテリアの毒-解毒システム
バクテリアのプラスミドには細胞分裂の時に伝わらなかった娘細胞を殺戮するものがある.この殺戮遺伝子の生成タンパク質は毒である.これの不感レスポンダーは解毒物質を生成する.