読書中 「The God Delusion」 第2章 その1

The God Delusion

The God Delusion




第2章は神の仮説.いよいよドーキンスの宗教へのアプローチ開始だ.
冒頭から旧約聖書の神が嫉妬深く,残酷で,人種差別主義で,女性・同性愛嫌いで,殺戮主義でとんでもないやつだというところから始まる.それまで旧約聖書になじんでいなかったウィンストン・チャーチルの息子が学校の寄宿舎で2週間で聖書が読めるかと賭をしかけられて読み始めたところ,「君たちはこんなことが書いてあるのは信じられないだろう」とか「神ってやつはとんでもないやつだ」とか大興奮したという話まで紹介されている.

しかしドーキンスの真意は,そういうイージーターゲットを攻撃するのではないというところだ.本書における神の仮説の定義は「宇宙とその中にあるものを創造した超人的で超自然的な知性がある」というものであり,本書の主張はこの仮説の逆で,「何かをデザインできる知性は漸進的な進化の後に産み出された」というものだということだ.


まず一神教について

西洋では一神教多神教より進歩的だと考えられているらしい.ドーキンスは,まずこれは根拠がないし,少ない方がいいのならさらにひとつ減らせば無神論になると皮肉を効かせている.そして一神教とされるキリスト教も,実際の信仰においては多神教とほとんど変わることがないことを指摘している.


まず英国では最近まで一神教の寄付に限って免税措置があったらしい.なかなかすさまじい現象だが,要するにヒンドゥー教徒に対する改宗のお誘いということらしい.そしてキリスト教の三位一体説がいかに明晰でないか,そして証拠のないことに自信たっぷりかについて皮肉たっぷりに指摘する.曰く「マリア信仰は,天使は,そして多くの聖人はどうなるのだろうか?」


ドーキンスは要するに一神教多神教も大差はないとして,本書のターゲットはすべての超自然主義だと宣言する.そして今ある一神教の神はユダヤ教キリスト教イスラム教も本書での扱いは同じであること,そして,その神の特徴は,世界を創造しヒト的な特徴を持つところだとする.さらに18世紀以降理神論が現れて,神はより慈悲深くなったが,その本質は同じであるとしている.


確かに言われてみれば,聖人や天使まで考えると一神教とはなんだろうという感じがしてくる.




第2章 神の仮説


(1)多神教


(2)一神教