「Sex Allocation」 第11章 一般的な問題 その14

Sex Allocation (Monographs in Population Biology)

Sex Allocation (Monographs in Population Biology)


残る問題の2つ目は実務的な難しさだ.


11.4.2 複数の淘汰力

通常単一種においても(性比に関して)複数の淘汰圧が効いている.一つの例は,偶蹄類,霊長類,有袋類齧歯類において,母の質の伝達,LRC,(オリジナルの)TW効果は,すべて相互作用しつつ最適性比を決めるということだ.これはある特定種の性比を予測することを著しく困難にする.
これらの淘汰圧間の相対的な重要性は様々だ.単一種内においても個体群によって異なりうる.

  • ケズネアカヤマアリ(Formica truncorum)においては,単女王制のコロニーでは血縁度の非対称性に依存する分離性比が観察されるが,複数女王制のコロニーではLRCに基づいた性比が観察される.
  • メキシコマシコ(Carpodacus mexicanus)では二つの個体群間で産卵順序が性比に与える効果が異なっている.ある個体群では第1卵で娘が好まれ,別の個体群では逆になる.


このあたりは実際のリサーチでは,モデリング,予測,データの取り方,など含めてなかなか難しい部分だろう.