「みんなの進化論」

みんなの進化論

従前私が書評したD. S. Wilsonの「Evolution for everyone」が「みんなの進化論」という邦題で訳出されたようだ．これは大変良い本なので喜ばしい．しかしこの表紙カバーはいただけない．原書の表紙カバーもださいと思ったが，邦書の表紙はさらにひどい．デザイン，センスだけでなく，チンパンジーだかアウストラロピテクスだかわからないものが「いじめっ子は恋に落ちやすいが，事故にも遭いやすい」などとしゃべっている．これでは出来の悪い進化心理学誤解本みたいだ．
この方が売れるという日本放送出版協会の判断だとすると，大変残念なことだ．

なお私の原書の書評はhttp://d.hatena.ne.jp/shorebird/20080316　著者D. S. Wilsonはマルチレベル淘汰でよく知られているが，本書を読むと非常にまっとうな行動生態学者であることがよくわかる．
マルチレベル淘汰についてはhttp://d.hatena.ne.jp/shorebird/20080330も参照．

原書

Evolution for Everyone: How Darwin's Theory Can Change the Way We Think About Our Lives