- 作者: W. D. Hamilton,Mark Ridley
- 出版社/メーカー: OUP Oxford
- 発売日: 2006/01/12
- メディア: ペーパーバック
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尊敬している三中先生の日録で紹介されて大変感激しております.
なかなか忙しくなってりして進みませんががんばります>三中先生
さて第7章はハミルトンの単著論文1993年のもの
第9論文 Haploid Dynamic Polymorphism in a Host with Matching Parasites: Effects of Mutation/ Subdivision, Linkage, and Patterns of Selection (1993)
有名な有性の有利性を論じたハミルトン,アクセルロッド,タナセの1990年の論文の続編というべきものでシミュレーション系の論文である.本格的な論文であるが,単著論文なのでエッセーはない.非常に寂しく感じる瞬間である.
とりあえず今日はabstrutと論文の意図のところ
予備的にシミュレーションを行ってみる
2遺伝子座,4遺伝子の倍数体,有性の生物が4種類の環境の下で淘汰を受ける.
4種類のゲノムに対して4種類の環境があり,それぞれの環境はどれか一つのゲノム形に対して不利に働く(つまりハミルトンのこだわるソフトセレクション)
シミュレーションを回すと,組み替えありで環境変化がランダムであると遺伝的多型が動的に保持される.
多型維持に有効なのは
1.再発的な突然変異,あるいはメタ集団からの移入
2.環境がバランスのとれた循環型に変動する
3.頻度依存等のネガティブフィードバック的な淘汰がかかる
ここでパラサイトを考えると2.3.の環境変化に近いことが考えられる.
本論文では3遺伝子のホストパラサイトを使ったシミュレーションを行い考察を進める
動的な多型についての考察のポイントは遺伝的な多型は自然界にあふれていることと,有性の存在
本論文の意図
1.有性の優位性については1990年の論文で論じた.本論文は多型の維持により焦点を当てる.多型が維持される集団には無性はなかなか入り込めないと思われる
2.突然変異やメタ集団からの移入がない場合の多型維持の条件を考える
3.ハードセレクションとソフトセレクションを比べる