第9章

On first Looking into a British Treasure (1994)


Timesに寄稿された記事
Collins Guideにかかる思い出と再シリーズ化への期待を表明している軽い読み物.
元々英国は他国がうらやむほどの図鑑やフィールドガイド出版王国だったのだが,まず米国のピーターソンガイドに先を越され,そして写真全盛時代に入って日本にもおいて行かれたというのが導入.名古屋では庭の雑草の美しいカラー写真図鑑が普通に売ってあって驚くエピソードが楽しい.
しかし我が英国にはコリンズガイドがあるのだ.ここから1940年代からのこの図鑑との思い出が語られる.中でもハミルトンらしいのは,図鑑は使われ,読まれてこそ価値があるのだ,そして自分の図鑑はカバーはもちろんなくなり,背表紙の金文字もすり減って読めず,その色の褪せ具合と本の厚さでどの図鑑かがわかるほど読み込んでいたというくだりだろう.また,犬が湖で飼い主の棒きれを追って湖の浅瀬に飛び込んだあと,急に姿が消えたとしても全く驚かないだろう,そしてそれはこの図鑑シリーズである種のヨーロッパのナマズは300センチ,300キロを超えて犬を一呑みにすることがあるという記事を読んでいるからだと自慢しているのもいかにも英国式ユーモアがあふれていて楽しい.


Bird Guide: The Most Complete Guide to the Birds of Britain and Europe

Bird Guide: The Most Complete Guide to the Birds of Britain and Europe

  • 作者: Lars Svensson,Peter J. Grant,Killian Mullarney,Dan Zetterstrom
  • 出版社/メーカー: Harpercollins Pub Ltd
  • 発売日: 2001/04/02
  • メディア: ペーパーバック
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確かにコリンズの図鑑は素晴らしい.私も野鳥図鑑を1冊保有しているが全く見事なできばえである.英国,米国,日本のもの含めて30冊ほどあるがベストな図鑑はコリンズのものである.子供の頃からこれに深く親しんでいたハミルトンの思い入れたっぷりの章であった.