読書中 「Genes in Conflict」 第9章 その9

Genes in Conflict: The Biology of Selfish Genetic Elements

Genes in Conflict: The Biology of Selfish Genetic Elements


今日からB染色体の構造について.まず大きさから.B染色体が小さいことの進化についてはよくわかっていないらしい.これは起源が大きかったのかそれとも小さかったのかという問題と,大きくなる淘汰を受けるか小さくなる淘汰を受けるかという問題がどちらもわかっていないということらしい.コイにはA染色体を越えるB染色体があることから最初は小さくてだんだん大きくなるのではということが示唆されている.これがB染色体とホスト側のどのようなコンフリクトのもとにあるのかわかれば面白いだろう.

つづいて多型について.仕組み的にはひとつのBが大小2つに分裂してしまうことで説明できるらしい.淘汰的に不利だとあるからB染色体からみると失敗ということかもしれない.異質染色質であることも説明されるが,異質染色質についての理解不足でここはよくわからない,お勉強しなければ

B染色体に遺伝子がほとんど乗っていないのはなぜだろう.少し前で交叉がないことが理由にされていたが,ここではそれでも乗っている遺伝子について考察されている.これもテクニカルで難しい話だ.Bにとって有利なものが乗っているという説にはそれでは不活性になっていることが説明できないと却下されている.しかしほとんど遺伝子が乗っていないのなら,前節で出てきた有益なB染色体はどうやって有益になれるのだろう.うーむ謎は深まるばかり.
著者はここでB染色体は動原体付近の小さいものから進化したため遺伝子がそもそもあまりなく,またドライブに有利になるリピートによって浸食されやすいのではと示唆している.




第9章 B染色体  その9


4. 構造とコンテンツ


(1) サイズ


B染色体はAより小さい.
B染色体の大きさに関する系統的な証拠は何も見つかっていない.


(2) 多型


植物のデータでは65種が2タイプ以上のB染色体を持つ.ほとんどは大きいものとマイクロサイズの2タイプである.


(3) ヘテロクロマチン (heterochromatin) (異質染色質)


Bはほとんど異質染色質からなっていると考えられている.このことは特に動物に当てはまる.異質染色質は繰り返しDNAと関連していると考えられていおり,C-bandingが理解の鍵らしい.しかしBについてはよくわかっていない.


(4) 遺伝子


B染色体にほとんど遺伝子が乗っていないことは印象的だ.
我々は,B染色体は動原体中心に始まり,はじめから少しの遺伝子しか持っておらず,そしてドライブに有利になる動原体や動原体周辺配列のリピートによって遺伝子はすぐに浸食されるのだろうと考えている.