Inside Jokes: Using Humor to Reverse-Engineer the Mind (The MIT Press)
- 作者: Matthew M. Hurley,Daniel C. Dennett,Reginald B. Adams Jr.
- 出版社/メーカー: The MIT Press
- 発売日: 2011/03/04
- メディア: ハードカバー
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第5章 ユーモアの認知的進化的理論にかかる20の疑問
ハーレーたちは第4章でこれまでの理論を概観した後に,自分たちの理論が備えていなければならない性質を明確化している.
<望ましい理論が備えているべき特徴>
- 全ての楽しみをもたらすユーモアを含み,楽しくないものを含まないように記述できる
- なんらかの予測ができ検証できる 例:こうするとジョークが冴える
- どのようにして,なぜの質問に答えられる
さらに答えられるべき20の疑問という形で整理している.
1.ユーモアは適応か.それは生得的でユニバーサルのようだが,もし適応ならどの様な利益があったのか
2.ユーモアの進化的な起源は何か
3.なぜコミュニケーションや笑いのコストにもかかわらず,ユーモアをコミュニケートするのか
4.ユーモアはなぜ楽しいのか,そしてそれは単にハッピーというわけではなく,特定の喜びをもたらすが,それはなぜか
5.なぜユーモアには驚きの要素があるのか
6.ユーモアにしばしば「判断」が絡むのはなぜか
7.なぜユーモアは嘲りにつながるのか
8.なぜユーモアは失敗につながるのか
9.なぜユーモアにナンセンスを感じるのか.様々な不調和説の提案は統一できるのか
10.不調和はどのように楽しみを生むのか
11.なぜ人や擬人化したもの(心を持つもの)だけが笑いの対象になるのか
12.硬直的で不適応な態度の是正というベルグソン説は正しいのか
13.なぜ笑いは社会的な是正につながるのか,是正の基準はなにか.なぜ笑われると直そうと思うのか
14.多くのユーモアに共通点はあるのか
15.遊びとユーモアの関係は何か
16.問題解決,発見とユーモアの関係は何か
17.なぜ私達はこれほどまで(金を払っても)ユーモアを求めるのか
18.様々なユーモアにある特異性は何か
19.ユーモアの一般性はどう説明するのか,多くの人に受けるユーモアがあり,私達はユーモアを広めようとするのはなぜか
20.性差はなぜあるのか
ハーレーたちは,現在最も有力なのは不調和解決理論だが,これは不十分だとコメントし,「私達は次の数章で,不調和解決理論を発展させた自分たちの理論を示す.これは20の質問に答えていると自負している.」と予告している.
この20の質問リストを見るとかなり冗長的な気もするが,重なっているような質問も少しずつ異なるという認識なのだろう.あるいは本章の存在自体やや冗長的とも感じられるところだ.何度も復習しながら議論を進めていくという本書のスタンスの表れと言うことだろうか.
なお本章の冒頭の参照ジョークは以下の通り
「おい,20の扉遊びをしようぜ」
「ああ,いいよ,ちょっと待って,答えを何にするか考えるから」
「もういいか」
「ああ」
「そいつはものか」
「ああ」
「ファックできるか」
「ああ」
「ヤギだろう」
「ああ」