「セレンゲティ・ルール」

セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるか

セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるか


本書は進化発生学(エヴォデヴォ)のパイオニア的研究者の1人であるショーン・キャロルによる一般読者向けに書かれたいわゆるポピュラー・サイエンスの一冊.キャロルは,専門のエヴォデヴォについてはすでに「シマウマの縞 チョウの模様(原題:Endless Forms Most Beautiful)」という一般向けの解説書を書いているが,本書はエヴォデヴォを離れて生態学に現れる調節現象のルールを扱うものになっている.今や大家となって専門を離れた楽しい本を書いてみたいと思ったということかもしれない.


イントロダクションではセレンゲティ国立公園を訪れたときの体験が語られている.そこには緑豊かな平原が広がり,シマウマとヌーの大群が草を食み,ライオンが辺りを睥睨する.ではこの植物,草食動物,ライオンの量や数はどのように調節されているのだろうか.なぜライオンはシマウマを食べ尽くさず,なぜヌーは草地を丸裸にしないのだろうか.これが本書全体のテーマになるのだ.キャロルはこれは特定の物質や成分の調節の問題であり,分子から生態系まであらゆるスケールで統一的に考察できるのだと指摘する.ここでキャロルは生態系における調節ルールを「セレンゲティ・ルール」と呼ぶと宣言し,それが本書の書名になっている.なお原題は(ルールが正しく複数形になっている)「The Serengeti Rules」.

第1部 すべては調節されている

第1部は,この調節ルールの解明に取り組んだ初期の研究者の物語が2つ紹介される.

第1章 からだの知恵

第1章は体内の生理的なホメオタシスの解明に取り組んだ生理学者ウォルター・キャノンの物語.キャノンはハーバードを卒業してすぐに同大学の生理学部門で研究室を与えられる.そして消化を調べるうちに,この消化作用が神経系に鋭敏に反応することを見つける.情動的なストレスは交感神経系の活性,エピネフリンの作用を通じて消化作用を抑制するのだ.キャノンは第1次大戦が始まるとハーバード病院部隊に志願し.戦地の野戦病院で多くの兵士のショック症状を目の当たりにする.そしてショックの際に血圧の低下を抑えることが非常に重要であることをみつける.これはキャノンにヒトの身体にある「恒常性を保つ作用:ホメオタシス」の重要性を強く印象づけた.そしてこれが交感神経系と副交感神経系の二重調節系であることを見抜くのだ.

第2章 自然の経済

第2章は生態学のパイオニア,チャールズ・エルトンの物語.1921年,若きエルトンはオックスフォードの北極圏の探検隊に参加する.数々の過酷な経験を重ね,様々な北極圏の生物を観察し,エルトンは食物連鎖網の重要性に気づいていく.それまでその地域のある種の生物の量は自然環境により決定されると漠然と考えられていた.しかしむしろ捕食関係の方が重要な決定要因かもしれないのだ.また探検行の合間に買い求めた書物でレミングの行動*1を読み,浴槽からあふれる水を連想し,生物量は振動しているかもしれないと考えつく.そしてそれをホッキョクギツネの毛皮の捕獲高のデータにより実証していく.さらエルトンはこの2つのアイデアを組み合わせ,ユキウサギとオオヤマネコの相関しながら振動する個体数推移を論文にまとめる.そして数年後,彼は「Animal Ecology」を著し,生態学創始者の1人となる.ここでキャロルはエルトンの見いだした生態学の法則をいくつか紹介している.

  • 食物連鎖の存在:大きな魚は小さな魚を食べ,小さい魚は水生の昆虫を食べ,水生の昆虫は植物を食べる.
  • 連鎖の方向は基本的に生物のサイズで決まる.
  • 個体数は食物連鎖の段階に応じてピラミッド型になる

第2部 生命の論理

ここからキャロルは自然界に見られる(進化を含めた創発現象として現れる)調節についての一般的なルールをみていくことになる.細菌の化学合成,人体のコレステロール.そしてガンが採り上げられている.

第3章 調節の一般的なルール

第3章は分子レベルにおける生命の調節作用についていくつかのルールを発見し,分子生物学創始者の1人となったジャック・モノーの物語.1934年,24歳のモノーはグリーンランドの探検隊に参加する.そこで生物標本採集を手伝うのだが,結局極地生物学者にはならずにトーマス・ハント・モーガンの研究室に行き,遺伝学の道に進む.カリフォルニアに滞在の後パリのソルボンヌに移り細胞数の決定要因を探る研究に従事し,それが炭素エネルギー源により決定されていることを見いだす.ここでヨーロッパは第二次世界大戦に突入し,モノーはナチによる占領下でレジスタンスに参加しながら研究を続ける*2.次にモノーは不思議な細菌数2段階増殖曲線に出合う.実験を繰り返し,これは細菌によって有利な糖類の利用で最初の成長曲線が生じ,その糖類が枯渇した後に別の糖類への利用に切り替えるために生じることを検証した.ということは細菌は何らかの方法でそこにある糖類を知り,合成回路を切り替えるという調節を行っていることになる.さらに実験を重ねてモノーは細菌の化学合成調節についていくつかの一般的なルールを見つけ出す.

  • 調節には促進と抑制がある.
  • 多くの合成調節は,その抑制を行う因子(リプレッサ)により抑制され,そしてそのリプレッサ自体が誘導因子により抑制されることによってなされている.(二重否定)
  • ある物質の合成調節は,しばしばその生成物自体が抑制物質となることによって行われる.(ネガティブフィードバック)
  • そしてこのリプレッサなどの抑制調節を行う分子は抑制物質識別部位と抑制作用部位の2つの活性部位を持つ比較的大きな分子になる.
第4章 脂肪,フィードバック,そして奇跡の菌類

次のテーマは血中コレステロールの濃度調整だ.
第二次世界大戦後,アンセル・キーズは戦争中に飢餓に襲われたヨーロッパで心臓病の死者が激減したことを知り,心臓病のメカニズムに興味を抱くようになる.そして脂肪分に富む食事をすると血中コレステロール濃度が上昇し,心臓病リスクが上がることを疫学的に調べ上げて世界に向けて啓蒙する.
次はその濃度がどうやって決まるかが問題になる.アメリカの医師ジョー・ゴールドスタインとマイク・ブラウンはメカニズムを調べ,コレステロール合成速度は促進因子レダクターゼ酵素の活動が律速になっており,健常者ではLDL(低比重リボタンパク質)がレダクターゼのリプレッサになっているが,高コレステロール血症患者ではリプレッサになっていないこと,それは細胞表面のLDLレセプターの有無によることを解明する.
そして最後にコレステロール降下薬スタチン開発の物語.日本の三共製薬の研究者遠藤章は,コレステロールを必須物質としない菌類には他の生物のコレステロール生産の抑制物質を放出している可能性があると考え,コンパクチン(最初に作られたスタチン)を見いだす.しかしイヌへの実験で腸ガンの発生リスクがあると考えた三共製薬は開発を中止した.遠藤の業績を知ったメルク社のブラウンとゴールドスタインは遠藤に直に会って遠藤自身は腸ガンリスクは病理学者の見間違いだと考えていることを知り,研究を進める.そして,発ガンリスクの懸念を払拭する実験結果を得るとともに,さらにコンパクチンがLDLレセプターを増加させてコレステロール合成を抑制していると考え,それを実験によって証明する.こうして開発されたスタチン剤は医療に革命を起こし,現在も何百万人もの命を救っている.

第5章 踏み込まれたままのアクセルと故障したブレーキ

第5章のテーマはガンだ.
ジャネット・デイヴィッドソン・ラウリーは博士号を取ってから一度家庭に入り,40代になってから研究者として再スタートする.そして1972年に2人の急性骨髄性白血病患者に共通の8番と21番染色体の転座現象を見つける.これはこの血液ガンの原因ではないかと考えた彼女は引き続き慢性骨髄性白血病CML)の調査を進める.そして最初の3つの標本ですべて同じ9番と22番染色体の転座を発見する.さらに8件の同様の転座を発見し,転座が白血病の原因であると示唆する論文はネイチャーに受理される.しかし1970年代の技術ではそれ以上の解明は困難だった.
ガンの解明の次の突破口はニワトリのラウス肉腫ウィルスから得られる.このウィルスによる発ガンメカニズムには4つの必須遺伝子があること,そのうちsrc遺伝子はそもそもウィルスの増殖自体には不要であることがわかる.ではこのsrc遺伝子はどこから来たのか.それは実はホストの脊椎動物に古くからある遺伝子であることがわかる.そしてラットやマウスにも同様な遺伝子がいくつか発見される.
さらにリサーチは進み,そのうちc-abl遺伝子が実はラウリーが発見した転座領域に含まれることが見つかる.さらに調べるとc-abl遺伝子は転座の際にbcr遺伝子を融合して発ガン性を持つことがわかる.この融合遺伝子が合成するタンパク質は白血病の増殖コントロールを失わせ,増殖アクセルをオンのままにする(ガン遺伝子).さらに増殖を抑えるブレーキ(腫瘍抑制遺伝子)をオフにするような発ガンメカニズムも見つかる.アクセルオンの遺伝子は顕性(優性)であり,ブレーキオフの遺伝子は潜性(劣性)になる.
このようなリサーチが進んだ結果今ではガンの遺伝子については以下のようなことがわかっている.

  • ヒトの遺伝子のうちごく一部がガンに関与している(約2万の遺伝子のうち140程度).そしてほとんどのガンはこの140のうち2〜8個が変異して生じる.
  • このうちガン遺伝子と腫瘍抑制遺伝子の割合は半々程度だ
  • これらのすべてが細胞の分化や生存を調節する中継システムもしくは経路の構成要素をなしていて,その数は10程度だ

そしてこのような遺伝子の特定は,よりターゲットを絞った薬剤の開発に大いに役立っているのだ.

第3部 セレンゲティ・ルール

細菌の化学合成,人体のコレステロール調節,ガンにかかるルールを見た後キャロルは第1部で触れていたの生態系のルールに話を戻す.

第6章 動物の階級社会

ここでキャロルは最初の問題「なぜ緑は草食動物に食い尽くされないのか」に戻る.スミスとハーストンとスロボドキンは,生物量の決定について,自然環境により食物連鎖ボトムアップで決まるだけでなく,トップダウンの捕食を通じた生物学的調節を受けているのではないかと考え,HSS仮説を提唱する.これはエルトンの初期の洞察「生物の数は自然環境だけでなく,捕食者によりコントロールされている」と同じ考え方と言える.
しかしそれはどうやって検証すればいいのか.ここで語られるのがロバート・ペインによるワシントン州マカー湾での(その生態系の頂点捕食者である)ヒトデの除去実験になる*3.ヒトデを除いた岩礁は中間捕食者の小さなフジツボの優先する多様性が大幅に減少した生態系に変貌した.これはHSS仮説が正しいことを強く示唆している.ペインは「キーストーン種」の概念を提唱する.キャロルによるとこれは二重否定型の調節ルールになる.そして同様のキーストーン種とその二重否定調節事例としてラッコ→ウニ→ケルプ*4,バス→ミノウ→藻類,オオカミ→ヘラジカ→モミ,グンタイアリ→ハキリアリ→樹木などの例を次々と紹介する.
キャロルはここで明らかになった「セレンゲティ・ルール」を2つ提示している(表現は私なりに変えている).

  • (1)キーストーン種が存在する場合がある.すべての生物種が生態系において等しく重要であるわけではない.
  • (2)栄養カスケードを通して強力な間接的影響を与える生物種が存在する.食物網の中で,様々な生物種は大小様々な影響を他の生物に与え合っている.多くの生物種は微弱な,もしくはほとんど無視していいような相互作用しか及ぼし合っていない.
第7章 セレンゲティ・ロジック

次はいよいよセレンゲティで何が生じているかの解明物語.この解明を進めるのは1965年からセレンゲティを研究しているトニー・シンクレアだ.彼はまず調査開始時点までの10年間にスイギュウの数が増えていることを発見する.そしてそれはかつては家畜から牛疫を感染してしまうことによる高い死亡率が,家畜の予防接種により一掃されたためであることがわかる.そしてそれはヌーの数も劇的に増やしていた.ヌーの大群は(餌が増えたために)ライオンを増やし,(草を大量に食べることにより)優先していたイネ科の植物の草丈を下げて,草原の植物に多様性を与え,アカシアを増やしてキリンの数を,食草を増やしてチョウの多様性を増やしていた.ここでは頂点捕食者(ライオン)ではなくヌーがキーストーン種だったのだ.ヌーは草原での最も重要な草食者であり,その採餌圧力が生態系に大きく影響を与えているのだ.
では何がヌーの数を制限しているのか.なぜライオンはキーストーン種ではないのか.実はセレンゲティではライオンによる被捕食率はその動物の体サイズにより大きく異なる.シマウマより小さい草食動物は補食による死亡率が高く,スイギュウより大きくなるとその影響が小さくなるのだ.そしてヌーはシマウマより大きくスイギュウより小さいが,草原を大群で移動するために捕食による影響はやはり小さいのだ.だからヌーやスイギュウの生物量を調節しているのは,(牛疫などの要因がないときには)自然環境収容力による密度依存効果ということになる.
キャロルは「セレンゲティ・ルール」を4つ追加し,第3章で見た分子の調節ルールとの類似性を強調している.

  • (3)生態系の共通資源について強く競合する生物は他の生物に大きな影響を与える.
  • (4)身体サイズは調節の態様に影響を与える.
  • (5)密度依存調節を受ける生物種が存在する.
  • (6)移動能力は動物の個体数の増加要因になる.
第8章 別種のガン

ここでキャロルは生態系の調節ルールが人為的に破壊されたときの悪影響事例を次々に紹介する.まずエリー湖富栄養化と毒性藻類の大発生,熱帯アジアの水田での殺虫剤の大量使用によるトビイロウンカの大発生(ターゲットの害虫に耐性が生じ,その天敵であるクモなどが殺虫剤でいなくなるために生じる),アフリカの自然保護区で他の動物が減少しアヌビスヒヒのみが増える現象(ライオンとヒョウの減少による),そして北米沿岸でのウシバナトビエイの増加(サメの減少による)とイタヤガイの激減だ.
これらは農場におけるリン酸肥料の過剰投与,殺虫剤の過剰投与,ライオンとヒョウの密猟,サメの乱獲という人為的な要因で生じているある種の生態系のガンだということになる.

第9章 6000万匹のウォールアイの投入と20年後

ここでキャロルはこのセレンゲティ・ルールを利用した人為的な生態系のガンの治療例を2例紹介している.それはウィスコンシンのメンドータ湖における藻類の大発生と(釣りの対象魚である)ウォールアイの枯渇に対し,頂点捕食者であるバスやパイクを増加させるというプロジェクト,そしてエルクの増加と植生への打撃に対するイエローストーン国立公園へのオオカミの再導入プロジェクトだ.いずれも事前の綿密な計画といくつかの幸運が重なって良好な経過になっていることが詳しく紹介されている.日本では悪役のバス類が,北米では(ある意味当然ながら)生態系のキーストーン種として重要な役割を担っているということになる.なおキャロルは最後に単に捕食者を放てばいいということではないと強く警告している.

第10章 再生

最終章は,アフリカ,モザンビークのゴンゴローザ国立公園の物語.モザンビークポルトガルからの独立後,ゴンゴローザを国立公園に定める.それは素晴らしい自然保護区だったが,1975年から1990年まで続く内戦により荒廃してしまった.*5.2002年に電気通信事業で財をなしたアメリカの実業家グレッグ・カーは,自らの精力を傾けるにたる実践的な慈善プログラムを探していたが,とあるきっかけから内戦後のモザンビークの人々の困窮振りと自然の美しさを知り,その復興に取り組むことに決める.そして最も有力な産業は観光業であると考えて,自らモザンビークに移り,ゴンゴローザ国立公園の再整備に取り組むことになる.しかしそこはあらゆる食物連鎖が切れてしまっていた.カーは密猟を防ぐサンクチュアリを設置し,スイギュウを移入し,増やし,放すところから始める.そしてその他の動物の移入,環境整備にも取り組み,住民には動物保護と観光業の職を与え,教育他のインフラにも投資した.そしてそのプロジェクトをセレンゲティ・ルールの観点からどう捉えるべきかが解説されている.そして本章の最後には現時点の成果をキャロル自身が確認しに赴いた場面が扱われている.10年を経てなお未完の部分はあるにしてもゴンゴローザの自然生態系は見事によみがえりつつあるのだ.

あとがき

キャロルは,WHOの天然痘撲滅プログラムの成功を紹介し.さいごにセレンゲティ・ルール応用の試みについての教訓を(本文とするにはやや説教臭いと思ったのだろう)「あとがき」でまとめている.きちんと世界のルールを科学的に理解した上で,的確なマネジメントを行うならば,そして社会的に連合して強い意志をもてるならば,世界規模でのプロジェクト(しかし実施は常にローカルでなされる)は実行可能であるのだ.楽観的であれ.そして文明の発展度合いは,人々が互いをどのように扱っているかで測ることができるのだと.

本書は,生物体内における化学合成調整,ガンの抑制などの遺伝子発現ネットワークが,促進,抑制,二重否定,ネガティブフィードバックというルールに則っていること,そして生態系の各生物量の調整も類似した調節ルールが用いられていることを解説し,そしてその応用の試みを紹介するという内容になっている.ポピュラーサイエンスとして優れているのは,各章に魅力的な主人公を配置してそれぞれの発見物語として語るようにしているところで,一般読者にとって興味を持ち続けて読み進めることができるように工夫されている.実際に初めてこのような話を読む読者にとってはルールの共通性も大変興味深く感じられるだろう.そして遺伝子ネットワークや生態系について予備知識がある読者にとっても,それぞれの基本の部分と詳細がきちんと書かれていて,なかなか読ませる.私にとってはセレンゲティのキーストーン種が実はヌーであること,そしてそれはなぜかという説明の部分が非常に興味深かった.
しかし,では「何故この2つのルールが類似しているのか」という最も興味深い謎について本書は解説してくれていない.遺伝子ネットワークについては,調節系が進化するには,突然変異に対しての頑健性が重要であるために,二重否定やネガティブフィードバック,そして複雑な調節ネットワークが進化しやすいのだろう.しかし生態系については(調節の揺らぎに対して頑健性がある生態系の方が適応度が高いなどということはないために)明確な説明が少し難しいということであり,本書もそこまでは扱っていないということなのだろうか.短期的に食物連鎖の中間段階が優越して多様性が減少しても,長期的には上の段階のそれを補食する生物や下の段階の補食防御が進化して多様性が回復することが生じやすいということなのだろうか.それとも我々には多様性のある生態系への注目バイアスがあるのだろうか.あるいはここをオープンクエスチョンにして読者により深く考えさせようという趣旨なのかもしれない.少なくとも私はあれこれ考えて楽しむことができた.いろんな意味で面白い本だと思う.



関連書籍


原書


キャロルによるエヴォデヴォにかかる一般向けの本,私の書評はhttp://d.hatena.ne.jp/shorebird/20070526

シマウマの縞 蝶の模様 エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源

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同原書


エルトンによる生態学の記念碑的な本.これは最近の復刻版のようだ.

Animal Ecology

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私が最初に読んだこのようなトピックについての生態学の本は,コリンヴォーによるこれになる.

猛獣はなぜ数が少ないか―生態学への招待

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同原書

Why Big Fierce Animals Are Rare: An Ecologist's Perspective (Princeton Science Library)

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*1:キャロルはこの章の最後に「集団自殺」の神話とその起源(ディズニー映画「白い荒野(White Wilderness)」)について触れている.

*2:レジスタンスでもモノーはその才能から頭角を現し,パリ解放時にはレジスタンスの上級将校として連合軍との連絡に当たったそうだ

*3:この実験に関する部分で,本筋には関係ないが,腕足類について「腕足類(二枚貝)」と余計な注釈をつけた誤訳があり,ちょっと残念だ

*4:ラッコの回復後,シャチが獲物をラッコに切り替えたために生態系がまたも変貌するという事例も紹介されている

*5:交戦する両部隊が野生動物を仕留めて食物にしたこともあったようだ