読書中 「Narrow Roads of Geneland Vol.3」第15章 その2

Narrow Roads of Gene Land: The Collected Papers of W.D. Hamilton: Last Words (Narrow Roads of Geneland: The Collected Papers of W.D. Hamil)

Narrow Roads of Gene Land: The Collected Papers of W.D. Hamilton: Last Words (Narrow Roads of Geneland: The Collected Papers of W.D. Hamil)


Ecology in the Large: Gaia and Genghis Kahn

PimmによるThe Balance of Nature に対する書評.Journal of Applied Ecologyに寄稿されたもの.(1995)

とてもいい本だとほめた上で以下についてコメントしている.
「生物集団が成熟するにつれてより絶滅しにくくなる」という本書の注目すべき主張だが,それがなぜ起こるのかがきちんと分析されていない.単にそのように多様性が得られるというのは普通の意味での「進化」とはいえない.
たとえば赤潮を起こし,突然魚食になる植物プランクトンPfiesteriaなどの生物をどう考えるのか(このような生物を‘Genghis Kahn’種と呼んでいる).このような種は人間もそうなのかもしれない.
いずれにせよこのような問題は解析的にきちんと導けるような性質ではなく,シミュレーションモデルで解析すべき問題だと思われる.集団遺伝学者として考えてみて遺伝子プールの中の多型維持の問題とよく似ている.
批判としてはまず生態系の中でここの生物の進化をあまり考えていない.そしてパラサイトの重要性が全く無視されている.特に生態学者は捕食者はよく問題にするが,病原体については割と無関心だが,これはこの問題の重要性が過小評価されている.