読書中 「Genes in Conflict」 第10章 その3

Genes in Conflict: The Biology of Selfish Genetic Elements

Genes in Conflict: The Biology of Selfish Genetic Elements




PGLがみられる種の生態の続き
Coffee Borer Beetleという虫の和名はよくわからなかった.キクイムシ科の昆虫で,キクイムシによくあるようにインブリーディングと局所的配偶競争の状況にあるらしい.この虫の場合にはコーヒー豆に産卵してその中で兄弟姉妹間で交尾のインブリーディングになるらしい.性比はメスに傾いているが,産卵メスの競争が生じるとオスの性比が上昇するとか,オスは無翅というのも,いかにもという感じの生態だ.

続いてトビムシ
メスは2n=12の核型を持つが,オスは2n=10の核型という変わった核型システムを持つらしい.どうやってサイクルを形成するのかと思って読み進めると,オスの方は精子形成の際にいったんn=6とn=4の娘細胞に分かれ,n=4の方は退化するということだ.そしていったん接合子は2n=12になり,この後オス個体だけ染色体を2つ失うという複雑なサイクル形成を行うらしい.ここではこの2つの染色体の喪失が一種のPGLの可能性があるといっているようだ.ただしこの失われる染色体が父親由来かどうかはわかっていないということだから,もしかしたらまったくドライブしない(つまり利己的な遺伝要素ではない)のかもしれない.
ただしやはり生態は,オスメスともに無翅でインブリーディングが多いと思われ,性比はメスに傾き,ほとんどメスだけの集団も見つかっていることから限りなく怪しいみたいだ.



第10章 ゲノミックエクスクルージョン その3


1. PGL,準半倍数体



(3) Coffee Borer Beetle (キクイムシ科)におけるPGL


Hypothenemus hampeiでは息子に父からの遺伝が生じないが(半倍数体かPGL),未受精卵は発生しない(半倍数体ではない)ことからことから,父性ゲノムの喪失があると思われる.この種は典型的な局所的配偶競争を行う.


(4) トビムシPGL?


トビムシの3種にPGLを示すような減数分裂の異常が見つかっている.