読書中 「The Evolution of Animal Communication」第1章 その1

The Evolution Of Animal Communication: Reliability And Deception In Signaling Systems (MONOGRAPHS IN BEHAVIOR AND ECOLOGY)

The Evolution Of Animal Communication: Reliability And Deception In Signaling Systems (MONOGRAPHS IN BEHAVIOR AND ECOLOGY)



第1章第1節は定義だ.

信号(signal)の定義:受信者に情報を与えるものだが,発信者にもメリットがあるものに限定するかどうかが問題になる.本書ではそれは含めない.(含めると蚊をすいよせる汗の成分などが問題になる)


信頼性(reliability)は受信者側が信号を信用できるかという視点から決定される.
実務的には受信者が何を望んでいるのかを(動物において)知るのは難しいため,利益になっているかどうかを何らかの方法で測定することになる.
定義としては
1.何らかの特徴が,信号者の属性か環境要素と一貫して相関していること
2.受信者はその信号から得られる属性や要素の情報により利益を得られること


欺瞞性(deceptive)は結構深く議論されている.
通常だと信頼性の逆だから,受信者に不利益があればいいことになるが,エラーを含めたくはないので工夫が必要になる.すると受信者の反応に信号者にとって利益があることを含める定義となる.
また信号者の「意図」を問題にするかという視点もある.本書では動物の信号システムの機能に興味があるのでこのような限定はおこなわないということだ.
定義としては
1.受信者は発信者から何かYを得る.
2.受信者は,YがXを意味しているのなら受信者にとって適切で,かつ,信号者にとって利益のある反応をする.
3.しかし実際にXではない.


また信号を発しない場合にも欺瞞性を問題にするかどうかが問題になる.本書では実務的にこれを扱うのは難しいだろうとして含めないスタンスのようだ.




第1章 イントロダクション


(1)定義