From Darwin to Derrida その180

 
ヘイグは第14章において自由について語る.(RNAワールド仮説における)最初の自己複製子RNAは自然淘汰を受け,意味を見いだす解釈の軍拡競争が始まる.そして機能的にDNAとRNAとタンパク質にわかれて分業を行うようになった.
 

第14章 自由の過去と将来について その2

 

  • RNAからタンパク質への置き換えは化学的語彙の重要な拡大(RNAの4つの塩基からタンパク質の20のアミノ酸ヘの拡大)だ.これは,単にnの長さにおいて(RNAの4nに対して)20nの可能性があるというだけではない.20の異なる側鎖は化学言語の表現力を大幅に引き上げたということだ.20のアミノ酸は4つの塩基よりより多くのことを可能にするのだ.

 
これはなぜRNAの触媒機能がタンパク質に置き換わったかという説明になる.それは化学的語彙が飛躍的に拡大できるから,つまりより多様な,より精妙な化学反応を可能にするからだ.
 

  • 複雑な解釈者は進化的なやっつけ仕事とその後の洗練化により単純な解釈者から作り出された.生命体は,環境により示された情報の単純な受容的消費者ではなく,有用なあれこれを探し求める探索者なのだ.行動的出力という感覚的情報の洗練された解釈は,生命体のサブシステム解釈者の単純な解釈に依存している.

 
難しい言い回しだが,(行動という)解釈を探索するシステムが自然淘汰を受けると,(より多様でより精密な解釈を可能にするために)サブシステムを持つシステムに進化するということだろう.
 

  • 1つのサブシステムの出力は別のサブシステムの入力となる:アロステリックな(反応性御製のある)タンパク質とRNAは,リガンドと細胞表面受容体の結合を細胞内の遺伝子の発現の変化として解釈する制御ネットワークの中で共同して働いた;神経伝達物質の放出と多くのシナプスの神経修飾物質はニューロンが発火するかどうかの決定に統合された;ニューロンの集合はフィードバックとフィードフォワードの複雑なプロセスによりより高いレベルの決定を行うように相互作用した;分子記憶は過去の解釈を意思決定の入力としての将来利用のために記録した.

 
そしてその一つの例が示されているということになる.ここまでが自由を論ずるための前振りになる.ここからシステムに個体学習が加わった場合の話になる.