書評

書評 「The Slow Moon Climbs」

The Slow Moon Climbs: The Science, History, and Meaning of Menopause (English Edition)作者:Mattern, Susan発売日: 2019/10/08メディア: Kindle版 本書はヒトの「閉経」について進化生物学,歴史,文化という3つの視点から読み解いていく重厚な本だ.著…

書評 「善と悪のパラドックス」

善と悪のパラドックス作者:リチャード・ランガム,依田卓巳発売日: 2020/10/21メディア: Kindle版 本書はリチャード・ランガムによるヒトの本性(特にその他者への寛容性と攻撃性)に関する本だ.本書のキーワードは「反応的攻撃性」と「能動的攻撃性」の区別…

書評 「Why the Law Is So Perverse」

Why the Law Is So Perverse (English Edition)作者:Katz, Leo発売日: 2011/07/30メディア: Kindle版 本書は法学者レオ・カッツによる「なぜ法律はあんなにヘンテコなのか」を意思決定論の視点から説明する本になる.カッツは少し前に刑法の原則にかかる様々…

書評 「Adaptive Markets 適応的市場仮説」

Adaptive Markets 適応的市場仮説: 危機の時代の金融常識作者:ロー,アンドリュー・W.発売日: 2020/05/29メディア: 単行本 本書は金融学者で自身クオンツファンドに関わる経験もしているアンドリュー・ローによる効率的市場仮説についての本である.本書の中…

書評 「Survival of the Friendliest」

Survival of the Friendliest: Understanding Our Origins and Rediscovering Our Common Humanity (English Edition)作者:Hare, Brian,Woods, Vanessa発売日: 2020/07/14メディア: Kindle版 本書は進化人類学者で比較認知学者でもあるブライアン・ヘアとや…

書評 「共生微生物からみた新しい進化学」

共生微生物からみた新しい進化学作者:政美, 長谷川発売日: 2020/06/22メディア: 単行本 本書はゲノム配列からの系統樹推定法などの研究で有名な遺伝学者長谷川政美による共生微生物をテーマにした一冊.長谷川は退官後,興味深い分野を一から勉強し,自身の…

書評 「アリ語で寝言を言いました」

アリ語で寝言を言いました (扶桑社BOOKS新書)作者:村上 貴弘扶桑社Amazon 本書は中南米のアリの専門家村上貴弘によるアリの本.中南米にはハキリアリ,グンタイアリ,ヒアリ,アルゼンチンアリなど進化の末にすさまじい能力や習性を獲得したアリが多い…

書評 「文化進化の数理」

文化進化の数理作者:田村 光平発売日: 2020/04/09メディア: 単行本(ソフトカバー)本書は文化進化の第一線の研究者田村公平による文化進化リサーチの手法,およびそれを用いたリサーチ例の解説書になる.文化進化についての概説書にはメスーディの「文化進…

書評 「統計学を哲学する」

統計学を哲学する作者:大塚 淳発売日: 2020/10/26メディア: 単行本(ソフトカバー) 本書は応用統計学にも造詣の深い科学哲学者大塚淳による統計学の哲学の入門書になる.序章では本書について「データサイエンティストのための哲学入門,かつ哲学者のための…

書評 「進化生物学からせまる」

進化生物学からせまる (シリーズ群集生態学)発売日: 2009/03/01メディア: 単行本 本書はシリーズ群集生態学の第2巻になる.出版は2009年で,私としてはアダプティブダイナミクスの勉強のために購入し,該当箇所だけ読んでそのままになっていたところ,先日こ…

書評 「生物群集を理解する」

生物群集を理解する (シリーズ群集生態学)発売日: 2020/09/25メディア: 単行本 本書はシリーズ群集生態学の一冊.既に2巻から6巻は10年以上前に刊行されており,本書は第1巻でありながら実質最終巻となる.なぜこんなに刊行が遅くなったのかと不思議に思いな…

書評 「寄生バチと狩りバチの不思議な世界」

寄生バチと狩りバチの不思議な世界(webコンテンツ付き)発売日: 2020/06/05メディア: 単行本(ソフトカバー) 本書は寄生バチと狩りバチを深く解説する本であり,ハチの研究者16名が様々なトピックや特定のハチを解説してくれている.研究者ならではの極めて…

書評 「The Kindness of Strangers」

The Kindness of Strangers: How a Selfish Ape Invented a New Moral Code (English Edition)作者:McCullough, Michael E.発売日: 2020/07/21メディア: Kindle版 本書はヒトの見知らぬ他人への利他性がどのように説明されるのかを扱った本だ.著者は実験心…

書評 「無限の始まり」

無限の始まり : ひとはなぜ限りない可能性をもつのか作者:デイヴィッド・ドイッチュ発売日: 2013/10/29メディア: 単行本 本書は量子計算・量子コンピュータの概念を世界に提示したことで知られる物理学者デイヴィッド・ドイチュによるヒトの文化を含めた世界…

書評 「チョウの生態「学」始末」

チョウの生態「学」始末 共立スマートセレクション作者:渡辺 守発売日: 2019/04/16メディア: Kindle版 本書は共立スマートセレクションシリーズの一冊,チョウやトンボの生態学の大御所である渡辺守によるチョウの行動生態研究についての本になる.渡辺の研…

書評 「森林の系統生態学」

森林の系統生態学―ブナ科を中心に―作者:広木 詔三発売日: 2020/04/30メディア: 単行本 本書は生態学者広木詔三による日本の森林を扱った一冊.「系統生態学」というのは初耳だったので,思わず手に取った一冊だ.この系統生態学というのは生態という空間的な…

書評 「新種の発見」

新種の発見-見つけ、名づけ、系統づける動物分類学 (中公新書 2589)作者:岡西 政典発売日: 2020/04/18メディア: 新書 本書はクモヒトデ類を専門とする分類学者岡西政典による動物分類学についての新書になる.いわば動物分類学への招待という趣の一冊だ. 冒…

書評 「モノ申す人類学」

モノ申す人類学作者:長谷川 眞理子発売日: 2020/02/28メディア: Kindle版 本書は長谷川眞理子による毎日新聞の「時代の嵐」コラムをまとめたエッセイ集になる.ある程度トピックごとに章をたててまとめ,一部書き足りなかったところについての補足も収められ…

書評 「花と昆虫のしたたかで素敵な関係」

花と昆虫のしたたかで素敵な関係 受粉にまつわる生態学作者:博, 石井発売日: 2020/03/11メディア: 単行本 本書は生態学者石井博による送粉生態学の解説書である.まえがきでこの本の性格について説明がある.それによると花や送粉者について書かれたこれまで…

書評 「生命の<系統樹>はからみあう」

生命の〈系統樹〉はからみあう: ゲノムに刻まれたまったく新しい進化史作者:クォメン,デイヴィッド発売日: 2020/02/29メディア: 単行本 本書は「ドードーの歌」で有名なサイエンスライター,デイヴィッド・クォメンによる分子系統,3ドメイン(アーキアの発…

書評 「ダイナソー・ブルース」

ダイナソー・ブルース: 恐竜絶滅の謎と科学者たちの戦い作者:尾上 哲治発売日: 2020/02/21メディア: 単行本 恐竜がなぜ絶滅したのかというのは1970年代までは全くの謎とされ,様々な説が提唱されてカオスのようだった.そこに1980年彗星のように現れたのがノ…

書評 「Virtue Signaling」

Virtue Signaling: Essays on Darwinian Politics & Free Speech (English Edition)作者:Miller, GeoffreyCambrian MoonAmazon 本書は「The Mating Mind(邦題:恋人選びの心)」「Spent(邦題:消費資本主義!)」「Mate」などの著書を出し,性淘汰がヒトの…

書評 「進化政治学と国際政治理論」

進化政治学と国際政治理論 人間の心と戦争をめぐる新たな分析アプローチ作者:伊藤 隆太発売日: 2020/02/22メディア: 単行本 本書は若手政治学者伊藤隆太による進化政治学の概説とそれを応用したいくつかのケースステディを収めた本になる.進化政治学という…

書評 「人類の祖先はヨーロッパで進化した」

人類の祖先はヨーロッパで進化した作者:デイヴィッド・R・ビガン発売日: 2017/09/08メディア: Kindle版 題名だけから見るとサピエンスアフリカ起源説への異説本のような印象だが,そうではない.本書は中新世の類人猿の専門家であるデイヴィッド・ビガンに…

書評 「Under the Influence」

Under the Influence: Putting Peer Pressure to Work作者:Frank, Robert H.Princeton University PressAmazon 本書は累進的直接消費財導入をとなえ続ける経済学者ロバート・フランクの新刊.フランクは進化生物学にも造詣があり,かつてヒトの感情について…

書評 「自由の命運」

自由の命運 国家、社会、そして狭い回廊 上作者:ダロン アセモグル,ジェイムズ A ロビンソン発売日: 2020/01/23メディア: Kindle版自由の命運 国家、社会、そして狭い回廊 下作者:ダロン アセモグル,ジェイムズ A ロビンソン発売日: 2020/01/23メディア: Kin…

書評 「進化のからくり」

進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語 (ブルーバックス)作者:千葉聡発売日: 2020/02/13メディア: Kindle版 本書は「歌うカタツムリ」で極上の進化生物学物語を届けてくれた千葉聡による講談社ブルーバックスの一冊.書名からは適応進化についての概説…

書評 「進化と暴走」

進化と暴走―ダーウィン『種の起源』を読み直す (いま読む!名著)作者:亮子, 内田現代書館Amazon 本書は現代書館による「今読む!名著」シリーズの一冊で,ダーウィンの「種の起源」を扱っている.Origin刊行150周年の2009年頃にはいろいろな「種の起源」本が…

書評 「人が自分を騙す理由」

人が自分をだます理由:自己欺瞞の進化心理学作者:ロビン・ハンソン,ケヴィン・シムラー原書房Amazon 本書は「ヒトは行動の動機について意識的に気づいていないことがある」ことをテーマにした本になる.著者はこのテーマについて深く興味を抱いた2人で,1人…

書評 「利己的遺伝子の小革命」

利己的遺伝子の小革命:1970-90年代 日本生態学事情作者:岸 由二出版社/メーカー: 八坂書房発売日: 2019/11/09メディア: 単行本 本書は生態学者で「利己的な遺伝子」の翻訳で知られる岸由二による一冊.岸はそれまでイデオロギーが幅を利かせ,(集団遺伝学を…